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ビビンバと坦々麺

1月、配属になってすぐの同行の時、
マネージャーに、春のふんわりした色の世界が好きだと伝えたことがある。
マネージャーは、夏の彩度の高い空と緑のコントラストが好きだと言っていた。
このやりとりを、今年は入道雲を見る度に思い出す。

自分では気づいていない感情が、たくさんあるらしい。好き、しんどい、ちょっと苦手、楽しい。
なんとなく並べた4つの感情は、恐らくだが「喜怒哀楽」を私の中で置き換えた言葉に近いかも、と気づく。

たとえば、表題のビビンバと坦々麺だが
これは私が最近気づいた新たな「好き」。

今まで好きな食べ物といえば親子丼にオムライスともっぱら卵ものだったが、ここ2.3年で私は一気に辛いものラバーになってしまった。
以前書いたスパイスカレーしかり、韓国料理しかり、何の気なしに食べたいものはなんだろうと考えると辛いものをリクエストすることが増えた。

そんな中で、いとこからの「いつも食べたいもの聞かれたらビビンバって言うよな、あと坦々麺。めっちゃ好きやん」という一言で、私は初めて「そう言われてみれば」実家に帰省する度リクエストしていたことに気づいた。

なんなら、1人で手短に済ませたいランチ時、ついふと手に取る確率が高いのがビビンバだった。

これはコンビニの「1日の1/3分の野菜が採れる」の謳い文句のせいもあるが、なんとなく「辛くて丼で安いのに野菜もとれる」という点が、私のランチ選定基準理念である
「なるべく安くヘルシーに美味しいものを」
に丁度よく当てはまるのだと思う。

初めて人に「それ、好きなんちゃう?」と言われた気がする。今まで好きな物は好きだと自覚していた方だったから、すごく新鮮だった。

好き、という気持ちは非常に曖昧でありながら、密やかに積み重なることで芽生える感情である。

そして好きに気づく瞬間、私の場合、ふわっと周りが色づくような、アニメや漫画なら花がパァっと舞うような、そんな感覚になる。

私にとって、楽しいという感情もまた、パァァァっと後光が指す感じに近い。

感情は言葉で表現することも難しいが、それは感情の中身を分解することが難しいからだと思う。

何が好きで、なぜ好きで、いつから好きなのか、
5W1Hが全然埋まらない。

嫌いとか嫌だという気持ちもそうだ。
なぜ泣いてるのと言われても、言葉にならないから涙が出るのだ。

でも、だから、言葉は大事なんだ。
中途半端に言葉を使う人は、中途半端にしか伝わらない。どうして好きなのか、ちゃんと言葉を使える人は、簡単な言葉であっても気持ちが伝わる。伝えられれば、人は理解できる。

なぜ春が好きなのか、
なぜビビンバが好きだと思ったのか、
なぜわかって欲しいと思うのか、
言葉を持てる人は物事の解像度がぐっと上がるはずだ。

春の霞が真夏の青空のように。

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