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そらのおまつり

ゆらゆらとゆれるブランコ。
「あうあうあうあうあうあうああああ」とたのしげに はしれるようになったよろこびかみしめる 小さな男の子。
少しとおくから聞こえてくるたいこの音。

男の子は、「そらにだれかが おえかきしてるよ」とすぐ後ろを歩くおかあさんに言う。

「ほんとだ。ねえ、あれは何のおえかきかな?」とおかあさん。
「えっとねえ。三角のわっかにね、とらさんととりさんとうさぎさんが あつまってるの」
「みんなで 何してるのかしら?」

うーん、と首をかしげる男の子、ぐんと上を向いて、
「なにしてるのーーー?」と 大きな声で 聞いてみた。

男の子が見上げる 空の上。
大きな大きな、とら、とり、うさぎが三角のわっかにじゃれついて、話し合い中。
一番大きなとらは、 サーカスみたいにわっかをあっちにくぐり、こっちにくぐり、たのしそう。
2番目に大きなうさぎは、おいしい草のまきついている 三角の右上のへんをがじがじがじと、それはそれはおいしそうにかじる。
そして3番目に大きいとりは、三角の左上のへんにこしらえていたすの中で、ぴーぴぴぴと歌を歌う。

「そろそろ、あの日だなあ」ぴょんと わをくぐりながら とらがいうと、
「そうだね、やっと、くるね!」と、がじがじをいったんとめる うさぎ。
それを聞いたとりは、わくわくするようなメロディにのせて「たのしみねー」という。

空の上では秋のはじまりに おおきなおおきな おまつりが ひらかれる。それはもう 空中たいへんな おおにぎわいで、なんと1しゅうかんもの間、おこなわれるのだ。

「今年は、どれくらい増えるかな?」とうさぎ。
「さあ、あれはほんとに きょうりょくだから。とくに 今年は…」と とらが言うと、
「ほかのうちゅうも さんかするって 話だからね」とつづける うさぎ。
こんどは とりが、「わたしたちはたのしいけど、 この星の人間たちには ちょっとしんどいかもしれない」という。

「そこで ぼくたちの でばんさ!」と うさぎがいうと、
とりが、「そうね、 空を見上げさえすれば のりきれるんだもの。 わたしたちが こうして歌ったり」、
つづいてとらが「わをくぐったり」、
さいごに うさぎ「おいしい草を たべたりして じめんばかりみてる 人間たちの かおを あげさせちゃおう」といった。

「なにしてるのーーー?」
「お、ねえあそこみて、あのこうえん」ととり。
「あ、おとこのこ。うえをむきすぎて うしろにころんだ!あ、よかった、おかあさんがきゃっちした」とうさぎ。
「こどもたちは だいじょうぶそうだな」とあんしんがおの とら。
「そうね、 そらにいたことを まだおぼえてるのね」ととりが うれしそうにいう。

じぶんの話を してるとは これっぽっちもかんがえていない 男の子は まだ じーっとそらをみる。 そんな むすこをみて おかあさんも じーっとみる。

「あ、ねえ、おかあさんもへいきかもよ」と、うさぎ。
「ほんとだ。小さい子のおかあさんは いっしょに 見上げるね」と、とり。
「おとうさんも へいきだろうか?」と、とらがいった。
「ねえ、あのこに なんてこたえる?」と こんどはとりが、とらとうさぎにたずねる。

じーっとみあげる おとこのこ。そして おかあさん。
と、そのとき、こんな声が どこからともなく きこえてきた。

「こんど空の上でね、おまつりがあるの!」
「空を見て!そうすれば たのしくすごせるよー!」
「おとうさんとおかあさんと、みんなでみあげるんだぞ!」

きょとん、とかおをみあわせる 親子。
「きこえた?」と、おかあさん。
「うん、そらみてねって」と、男の子。

いったいどんな おまつりが あるのでしょう?

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