貧血を治療して残った大豆
Kは鉄欠乏性貧血である。絶賛治療中。出産前に勤めていた会社の労働組合が健康診断に血液検査の追加を申し立て、追加された年に12なきゃいけないヘモグロビン濃度6.8とか超低い値が出て発覚したのが始まりで、以来治療したり、しなかったりのずぼらな患者であったのだが、2人目の出産以降10年放っておいたら大分悪化していたことが、パート先の健康診断で発覚し、3年くらいごまかしていたが、いよいよ不整脈まで出て、しぶしぶ病院へ行ったらまあ全ての鉄の値がヤバい、みたいに言われ、現在治療中。
鉄剤を飲み出した3日目にはあれが不整脈だったのだろう、謎の胸の苦しさがなくなり、疲れにくく行動時間が延びたり、息切れしにくくなったり、生理が普通に戻ったり(不順だったり少なくなったりしてたので年齢的に閉経すると思っていた)、節分豆を食べたくなくなった。
節分豆はKの大好物で、しかしあの季節にしかないものである。買いだめして食べていた頃もあったけど、大豆を買ってきて自分で炒れば無限じゃん!と思いつき、毎年時期になると直売所で1年分買ってきて、年中節分豆をゲットできるようになった。
節分豆は電子レンジ用蒸し器に300グラムくらい入れ、熱湯を注いで30分、湯を捨て500Wで5分レンチンし、フライパンで炒る。カラカラになれば出来上がり。
一週間で1キロ食べるとして、1年は52週、50キロあれば1年分を最大値として、40キロ買ってくる。お味噌作るんですか?とか店員さんに聞かれてそうなんですウフフとか答えて丁寧に暮らしてます雰囲気で買ってくる。まさか炒って食べるんです、これ全部とは言えない。なくなると不安になるし、大豆もその季節にしか出ないのでまとめ買いが正解である。
とにかく中毒かというほど常に大豆を食べている生活を数年続けていて、それは頭の中にはずっと大豆を欲している部分があり、満たすために空腹でなくても食べている状態だった。中毒だった。
ここで貧血の治療を始め、3日で大豆を全く食べたくなくなり、これも貧血の症状だったのかと驚くばかりである。
氷食症という言葉があるけれど、恐らくそれに類するやつだったと思う。確かに人に驚かれるほど氷を食べる習慣もあるし、なんなら飴も噛んでしまう。
さて、とりあえず当座の鉄分を得たKは全然大豆を食べたくなくなり、40キロの大豆がただそこにあるのだが、どうしたものかと思案している。