🎩BLワールド備忘録🌕️『式神の名は、鬼』①②③👹

夜光花著
イラスト笠井あゆみ
キャラ文庫徳間書店

満月の夜毎百鬼夜行が訪れ、妖怪に襲われる＿＿その標的は八百比丘尼やおびくにの血を引く肉体？
氷室櫂ひむろかいは、代々続く陰陽師で、妖怪に付きまとわれる人生に辟易していた。
無限の連鎖を断ち切るには身を守る式神が必要だ。そこで目をつけたのは、数百年もの間、封印されていた最強の人喰い鬼、羅刹らせつ！
陰陽師自身の肉体と引き換えに使役する房中術ぼうちゅうじゅつで、一度は制圧することに成功した櫂だが、「今すぐお前を犯して喰ってしまいたい」と櫂の体に味をしめた羅刹の妙技に翻弄されることになり…⁉️

日本人形を思わせる容姿を持つ氷室櫂と赤毛でロッカーを彷彿とさせる羅刹。共に妖怪退治をするうちに、「陰陽師と鬼」という関係から互いになくてはならない存在になって行く🎵

これぞ『美女と野獣』の組合せ💕ウッヒョー🎶😃💕わくわく❗️

愛すべきアンチヒーロー

夜光花氏の作品には、チヨット落ちこぼれの主人公が多い。

今回も、陰陽師としての才能はあるのに、人としてはダメダメな氷室櫂が良いなあー💕
力はあるのに過去のトラウマから自己肯定感がすこぶる低く、つい、マイナス思考に走ってしまう。
対して、好敵手ライバルとして登場する安部那都巳あべなつみは安倍晴明の子孫で圧倒的な力を持つ。

高明な僧侶が自らの命と引き換えに八百年もの間、祠に封印していた羅刹をあっさりと解放し空かさず房中術で縛り上げるほどの力を持っていながら、那都巳の力を見せつけられてますます落ち込んでしまうのだ。

人嫌いな癖に男しか愛せない同性愛者。
友達もいないから人への思いやりに疎い。オマケに金にうるさい守銭奴ときているから、余計に憎めない。

大蛇の魔物につけられた呪詛を解くため奔走するうち、自分の先祖と八百比丘尼の謎に導かれて行く。

   

制圧する者と使役される者

八百年ぶりに甦った羅刹にとって現代社会は珍しく面白いものばかりだ。
人の肉よりハンバーグやしょうが焼きに目がない。
「吾はしたいことしかしない」と言い切り、肝心な魑魅魍魎退治も飽きれば放棄して、居眠りをする始末。
「やっぱり、鬼を使役になんてやめときゃよかったかもな…💦」と後悔ばかりの櫂だ。

オマケに房中術で縛り上げるはずが、羅刹の果てなき性欲に翻弄されてばかり❗️

ミイラとりがミイラに為らぬよう自分を戒めるのだが、元々理想の恋人像にドンピシャな羅刹の容姿に何度も流されそうに…‼️

果たしてふたりの関係はどうなってしまうのか…⁉️
ワクワクが止まらない🎵

疑似家族

天涯孤独の櫂だが、小鬼の草太と雪には『家族の営み』の真似事を体験させられて感無量だったりする。
鬼と人間である雪の間に生まれた草太は人の数倍の早さで成長する。
預かった頃は小学生で、大食漢の無邪気なガキだった。
人間の社会に馴染むように教育して欲しいと雪の頼みであずかるが、あることがキッカケで大人の鬼になってしまい、思春期をぶっ飛ばして、性に目覚めた草太に、櫂が初めての自慰を指南する羽目になる。
「なんで、こんなことまで俺が…」と毒ずくが、雪に礼を言われて、なんだか父親役を担っていることに、苦笑する。

人間の櫂が、鬼である羅刹や草太から人への思いやりや人とのかかわりを気づかされてゆく。

ここがミドコロ

物語の中盤、魔物に襲われ瀕死の状態の櫂。
そこへ現れた羅刹。
「鬼がなぜ邪魔をする？この陰陽師を喰えば自由になれるぞ」
ほくそ笑むような大蛇の言葉に、ハッとした羅刹の視線が櫂にむけられる❗️
櫂が死ねば羅刹は呪縛から解放されるのだ。死を覚悟した櫂は叫ぶ！
「俺を喰っていいのはお前だけだ…っ！」
その時、羅刹がとった意外な行動とは…⁉️
手にあせ握る展開にうるうる➰💦

櫂は羅刹の行動は全て自分が縛った術に依るものと戒めるが、その人間くささに心震わしてしまう。
人間嫌いと言ってるが、実は人とのかかわりを誰よりも望んでいたことに気づかされてしまうのだ。

天涯孤独のはずの櫂だが、不思議と彼を慕う人々が集まり、ラストではライバルの那都巳さえも、彼のピンチに手をさしのべる🎵

憎めないアンチヒーロー、万歳❗️✨

『式神見習いの小鬼』

那都巳と草太のスピンオフドラマ！
見た目は凛々しい青年だけど、中身は小学生の草太。思春期を通り越して性に興味津々❗️ひょんなキッカケで那都巳の式神見習いになることに🎵
好奇心旺盛だけど、未成熟な草太に完璧なはずの那都巳が思わぬ欲情を煽られて…⁉️

草太の無邪気さに那都巳が振り回されるところがミドコロ❤️