2020東京五輪-在日香港人随筆

日本国内外、運動場内外も波乱万丈な情勢が続いている中、安倍マリオはピリピリした雰囲気で出番がなくて筆者を含めACGファンたちががっかりしたものの、2021年の夏、2020東京五輪はなんとか無事に幕を閉じた。アスリートたち、関係者の皆様のご尽力に感謝を申し上げる。本大会では香港からはアスリート46名が参戦し、一金二銀三銅という歴史的な快挙を達成した。メダル6枚、香港では過去のメダル累計数よりも多い。香港スポーツ選手世界一だ!ありがとう。08年のアウェーゲームはメダル獲得できずに終わったが、流石にホームゲームの実力は120%を発揮できたに違いない。(笑)(注1)

パラリンピックが開催される前に、今回の辱華大会(注2)…いやいや東京五輪中、香港や台湾と関連する出来事を振り返ってみたいと思う。

まず、急ぎすぎるくらい、開幕式の夜と共に、隣国の人々が怒ってし始まった。今回の入場順は日本語の'あいうえお'で、日本語ができない香港人にとってはわからないけど、日本語ができる香港人も多くて、ライブの様子をほぼ同時に翻訳され漢字圏に拡散した。旗はあの意味不明な旗(注3)のままだが、台湾は'タ'の順番で入り、"台湾です"NHKの解説と共に堂々と出場した。この流れではまずいと察知した中国の放送局は時期を外さずに映像を中断したが、その結果、14億のテレビ前に長く待っていた中国人は間もなく’ち’の順で登場する中国選手団の入場を見逃した。お気の毒様。(笑)リアルタイムで見ている筆者は中国の地図上は台湾が含めていないことを知り、日本やるな!と最高な気分で今回の五輪開催に迎えた。次に速報が入り、ニコニコの生放送中、台湾と香港の入場が熱く歓迎された一方、中国は逆方面の’歓迎’を受け、日本人の応援と気持ちがとても良い励みになる、このご恩は忘れない。
翌日、チャイニーズ・タイペイとはなにか知ってる?と数名の日本人の友人に尋ねたところ、"え、知らない"という答えだった。台湾は台湾だ。

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各国の美男美女選手を見て楽しむ中、大会初日から香港の選手が厄介な政治問題に巻き込まれた。男子バドミントン香港代表の伍家朗選手が、香港旗が入っていない黒色の上下のウエアでプレーするだけで、香港の親中派議員らから猛烈な批判が殺到、‘中国香港(ホンコン・チャイナ)を代表したくないのなら、試合を辞退すべきだ’と非難の声が上がった。ブラックブロックはデモの代表色とは違いないが、デモ隊を支持するからこの服でプレーしたのか。実は香港政府がしっかりと選手団の服を用意していかったため、彼は自分にとってベストなウエアを選択しただけである。そう、香港のアスリートたちはサポートも資源も練習場所もなにもない、いい成績を残したらそれは政府のお手柄だ、皮肉なこと。28日、伍氏は明らかに適切でない‘チーム服’を着用し、下がったテンションに影響されるまま負けてしまい、グループ敗退となった。今の政治情勢によって、もちろん親中派の文句を言えずに、あいつらの謝罪は当然になかった、むしろいい仕事をしていたと褒める声もある。5年間の努力を一瞬間抹殺されても、どうしようもなかった。

26日、フェンシング男子フルーレ個人で張家朗選手が見事に主権を中国に移行された後初の金メダルを獲得した。(注4)香港現地では、大きなテレビモニターがあるショッピングモールで、市民たちが彼の奮闘を見届け、久々に勝利の喜びを味わった。表彰式では中国国歌(注5)が流れるから、その音をかぶせて、WE ARE HONGKONG(我々は香港だ)と一生懸命叫んでいた様子は日本でも報道してくれた。ちなみに高校時代、クラスメイトと香港サッカー代表の試合を観戦したとき、筆者は必死にブーイングし、手を胸あたりで×バツのような姿勢で中国への憎悪感情を表現したことがあって、懐かしい。歌の背景などを抜けて、歌詞だけで見れば、割と嫌いではないかもしれないけれど。しかし、2020年7月以降の香港では、表現の自由が抹殺され、国歌のブーイングは立派な犯罪となり、数日後には逮捕者が出た。なにか五輪やスポーツに政治を持ち込むな、とは本当にウケる。最初に持ち込んだのが親中派であろうか。生活の全般が政治に関わり、望むだけで平和が訪れないこと、日本人には最低限の認識を持たなければならないだろう。

7月31日、台湾チームはバトミントン男子ダブルス決勝で中国のペアを破り、台湾初のバドミントン金メダルを取った。台湾現地では、蔡英文総統があまり興奮しすぎて電話をかけてきて、愛が溢れる場面で、香港人は羨ましく思う、キャリ・ラムでなくて蔡氏ならば、なんてね。撃退された中国側はカオスになることはなんとなく想像につきやすいと思うが、今回の注目点は台湾の親中派芸能人らである。親中で有名なタレントの徐氏をはじめ、個人のSNS上で選手お二方におめでとうの書き込みを見つけた中国側は、直ちにボイコット運動や契約解除をし、‘国益がなにより大切だ、台湾独立勢力許さん!’と封殺命令を下した。台湾中で最も中国に関係が近い人々でさえ辱華分子と見なされる、この展開は面白いぞ。台湾近年はこういう言い方がある、人生は生老病死4段階はもう古いだ、今は生老辱華病死5段階になった、間違いない。

閉会式の前、中国は安定的に恥知らずという個性を世界に披露した。香港の親中派議員やウェイボ(中国ツイータ)のメダル獲得ランキングについて、’香港と台湾メダルを(中国と)一緒に加算すべきだ’という意見が’いいね!’を多く獲得した。異なる三つの選手団の成果を一緒に計算する思考回路は気持ちが悪いものだが、理解できなくもない。国土の一体性を保つよりも、邪悪なアメリカ帝国に金メダル数で上回り、一位になることが一番の狙い目だろう。メリットがあるなら、香港と台湾を遠慮なく利用する、デメリットがあれば、迷わずに捨ててしまう、虫が良すぎる話だ。これでご近所さんの正体について、少しでも認識を深めてもらえば幸いだ。

今夜開幕のパラリンピックでは、24名の香港選手が8種目に登場します。ぜひ応援して頂ければ幸いです。

2024パリ五輪を迎える前に、2022北京冬季五輪の開幕式まで半年を切った。ヨーロッパ議会、イギリス、アメリカ、カナダやオーストラリアなど欧米諸国が新疆ウイグル自治区と香港情勢に応じて、ボイコットする声を続々と上げている。東京五輪が一段落となった今、人権、民主主義と自由を守る仲間達よ、今度は我々の出番だ、戦いはつづく。

Ps日本U24サッカー代表がメダリストになれなくて非常に非常に残念だと思う、久保選手今後の活躍を祈っている、頑張れ!

1.2008年は北京五輪。
香港人は日本に旅行することが好きすぎて、故郷に帰るという言い方がある。
2.戦狼外交の方針につき、中国共産党の価値観と嚙み合わないものが全て中華民族への侮辱に見なす。違う方向に猛スピードで暴走しているナショナリズム。
3.台湾の五輪出場、なぜチャイニーズタイペイの名称なのか
4.前の金メダルは1996アトランタオリンピックで獲得し、25年ぶりの金メダル。
5.歌詞の意味は圧迫に逆らう人々の思い、香港の状況も完璧に代入できちゃう。 

参考資料
1.立場新聞 東京奧運向香港運動員致敬-拚盡所有榮辱與共
2.時事通信社 台湾で異例の盛り上がり 史上最多メダル、呼称問題も話題 東京五輪 
3.毎日新聞 バドミントン香港代表、黒色ウエアでプレーし物議 反政府象徴カラー 
4.朝日新聞 香港の選手が初の金メダル、沸く市民 中国国歌に反発も
5.日本経済新聞 香港、中国国歌侮辱で初の逮捕者 金メダル表彰式観戦
6.AFP 五輪バド金の余波 台湾のタレント、中国企業との契約解消に
7.産経新聞 北京オリンピックボイコット論、欧米で急拡大

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