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第9回ニッポン豆腐屋サミット@岡山

今週末の2019年10月26,27日と、第9回ニッポン豆腐屋サミット@岡山に参加してきた。参加者は200人超えたとのことで、第五回の京都のサミットの時を思い出させるようなサミットだった。

サミットの内容も個人的には今までで一番濃かったんじゃないかと思う内容で、去年の西日本豪雨で被災した後でも全力で準備を進められた実行委員の方々の努力が目に見えるようなサミットだった。実行委員の方々、本当にお疲れさまでした。

本当に学びの多かった今回のサミット、記憶の中で学びが薄れていくのはもったいないので、特に学びになったことを今回のブログで書き残しておこうと思う。
ちなみに、今回のブログでちょうど半年を迎える。(もうそんなに経ったのか...)

葉っぱビジネスに学ぶ価値の創造

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徳島県上勝町で葉っぱビジネスを立ち上げ、株式会社いろどりを設立し年商2億円にまで成長させた横石さんの映画が上映された。
(映画タイトル:『人生、いろどり』)
映画上映の後、横石さんご本人と、湧水の里渡辺さんと、尾崎食品尾崎さんの3名+磯貝さんファシリテートでのトークセッション。

映画の内容としては、元々山でたくさん採れる葉っぱを、和食等の料理に沿える「つまもの」として売り、紆余曲折ありつつもそれが年商2億円を超えるまでに大成功したというストーリーだった。

映画上映後の横石社長のお話や、トークセッションでの話を聞いている中で、僕らに通じるポイントは
価値の創造
ビジネスとして回る仕組み
にあるなあと思って聞いていた。

▼「価値の創造」について。
普通に山に生えている葉っぱは、もちろん「葉っぱ」そのものとしては売れない。その「葉っぱ」にどのような価値を付けるかが重要で、いろどりの場合は、料理の「つまもの」という価値を付けたからこそ葉っぱが数百円で売れる。
「つまもの」を用意するおばあちゃんたちも、自分の積んだ葉っぱに対して自分で値段を付けて発注が来た分は自分の売り上げになるので、そのモチベーションそのものが取り組む上での価値となる。当然、お金もモチベーションの大きな源泉の一つだろう。

▼「ビジネスとして回る仕組み」について。
横石社長のお話を聞いていて、ああ、すごいなあと思ったのは、おばあちゃんでも使える情報ネットワークシステムを開発したこと。
80歳を超えるおばあちゃんでも使うことができる単純なUIで、つまものを採るおばあちゃんたちは、毎朝そのシステムにアクセスして、注文を取るとのこと。
パソコンとタブレットを2両方所有している人もいるとのことで、「高齢者だからPCなんて使えない」なんて言ってられないなあと思った。
また、いろどりに登録している農家のおばあちゃん一人ひとりの売上も登録されており、自分が今売り上げランキングで何位にいるかもわかるようになっている。うまくモチベーションが上がる仕掛けになっているなあと思う。

大豆は世界を救う

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サミット2日目。
国産大豆の豆腐を、100台以上の移動販売車で売って回るビジネスを展開されている株式会社染野屋の小野社長の講演。

話は人口爆発から始まる。
・農学に携わる人なら誰もが知っている、2050年には約100億人に達すると言われている世界人口の増加
・世界人口の10%以上は飢餓に苦しんでいるが、タンパク質を適切に分配することができれば、140億人までは賄うことができるという事実
・先進国で過剰に消費されている「肉」の生産のために、アマゾンの森林の伐採が進んでいる。(森林伐採の原因の70%が、先進国の肉食にある
・アマゾンの森林伐採をはじめとして、森林面積が急激に減少することで、世界各地で異常気象が起こり始めている。人類はいつ死ぬかわからない状況にある。

で、これらの事実を受け止めた先進国では、肉を食べずに植物を食べようという動きが活発になってきている。
(例:ポールマッカートニーのMeet Free Monday、ビル・ゲイツの出資するBeyond Meat、国連の発表した肉食を減らす宣言 などなど。)

現在、世界の動物性タンパク質の市場は200兆円に上るが、この市場規模がどんどん植物性タンパク質に置き換わっていく未来はすぐそこまで来ている。事実、代替肉の市場は近年急激に成長している。
日本の豆腐業界の市場規模は3300億円、世界の動物性タンパク質市場の1/200だが、今後豆腐の需要自体を増やしていかないと地球が持たない状況にあるので、豆腐屋は業界的にチャンスでしかない。

ざっくりとお話をまとめるとこんな感じである。
話一つ一つに根拠がありすごく分かりやすかったのと同時に、豆腐屋が豆腐の消費自体をもっと啓蒙していかないといけないと思った。
本当に勉強になったし、もう一段自分も視座を上げないといけないと改めて思う内容だった。

自分の価値とは?

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小野社長の講演の後、グループで「豆腐屋の価値とは?」というディスカッションを行った。
僕のチームは地方で豆腐屋をやっている人が多く、規模はそれぞれ違えど、それぞれの豆腐屋さんが自社の強みをそれぞれ活かした豆腐ビジネスを展開していた。
従来の豆腐屋の働き方に縛られない雇用形態を作ったり、豆腐を使った新しい商品を開発したりと、それぞれ努力している話を伺えた。
また、豆腐屋さん以外の立場からは、豆腐屋という存在自体が、大企業にありがちなぬるい雰囲気がなく頑張って努力しているように見える、とのコメントが複数あった。小難しい戦略など抜きにして、純粋に「かっこいい」と思われる職業ってそうそうないだろうなと思う。改めて、豆腐屋って良い職業。

さて僕自身はというと、実家嘉平豆腐店の生み出している価値は何点も上げることはできるが、「じゃあ、自分自身の価値って何?」と言われたときに、まだ固まりきっていなかったりする。
今は、大学で研究をしている学術性・専門性、新興ベンチャーでの経験、こういったブログでの発信、くらいかと。
自分自身がもっと尖って価値提供していきたいので、向かう方向性だけは見失わずに、日々やることを着実にやっていこうと改めて思う。
岡山城からの眺め、いい天気で最高でした。
(34週目終わり)

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