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お笑い入院日記①~骨折しちゃいましたの巻

足首をひねって近くの整形外科へ行ったら骨折していましたとさ。ここまでならよくある話なんですけど、どうも骨折したところが悪かったらしく即入院させられて手術した時のお話。
病院にお泊りなんてのは30歳の頃に鼻の骨を削った時いらい(美容整形じゃないよ)でありましたが、終盤はまさに天国のような日々。予定ではあと1週間ほど滞在するはずだったのが、諸事情あって追い出されてしまったのだ。
せっかっくなので、お世話になった方々への感謝を込めて入院生活について書いてみる。って、なにがせっかくなんだろう。

えっ!折れてるの?

遠征先で怪我をして近くの整形外科へ行ったのは4月下旬の出来事だ。足を引きずりながら近寄ってくる僕を見かけた白衣の天使が車椅子を押して玄関先まで迎えに来てくれたのがつい先日のようだ。
おぉ、優しい看護師さんだなぁ〜ってお礼を言いながら車椅子に座ると、その看護師さんは私の右足首を見るなり、『あぁ~これは・・・』って呟いた。
『まさか折れてないよね。足首だって動くし、ほらほら』って足首を少し動かして見せる僕。
『それは先生に聞いて下さいね〜』って明らかにはぐらかす看護師さん。

なんだなんだと不安になりつつ診察室に入ると、右足首を見るなりお医者様が、あ~やっちまったなって顔をするではないか。やはり折れているんだと焦り始める。
レントゲンを終えて診察室に戻るとさっそく写真が張り出されている。腓骨(足の細い方の骨)が斜めにカットされたように折れているのが素人にも分かる。もちろん、写真の隅っこにカタカナで名前が書かれてあるから、間違いなく僕の骨だ。スパッときれいにカットされていた。

そこへさっきのお医者様がやってきて、『いまから入院できますか?』って宣うではないか。
この不意打ち攻撃に僕は怯んでしまった。
「え~と、今日は一人で来ているし仕事も残ってるんです。それに、僕の家はここから200Kmも離れていて遠いし、洗濯物もあるし。あっ、家って言っても借家ですよ。あと、クルマは仕事先に置きっぱなしだし......どうしよう。そうだ、明後日には山菜採りの予定も入れてあるので絶対に無理です!ボク、山が好きなんですよ」ってな感じのやや意味不明なしどろもどろを丸出し。

するとお医者様は呆れたように『これ、すぐに手術しないと歩行に支障が出ると思いますよ。山菜にも行けなくなるかも』などと知ったばかりの僕の急所を狙って一気にトドメを刺してくる。ちょっとご立腹な感じがしないでもない。

もしかして驚かそうとしてるのか?
お医者だって見立て違いもあるよね?
だっていま入院すると非常に困るし・・・そもそもおカネも持ってきてないしなぁ~などど自己都合的に考えてみても何も解決しない。

少し冷静さを取り戻してきた処で、ここでの入院は不便なので自宅近くの病院に行きたい旨をもう一度伝えると、ギプスで仮固定して宛先のない紹介状と撮影データと処方箋をくれた。松葉杖のオマケつきである。アルミ製なのに松葉杖なんだなとアホな事を思いながら御礼を言って病院を出たのが午前11時頃。さっきの看護師さんが玄関まで見送りがてら、当面の注意について色々と教えてくれた。

午後の現場打合せ(と言うケンカみたいなもの)ではギプスと松葉杖で威嚇しながら対応したのだが、自由に動き回れないので完敗してしまった。しかも相手は担当だけでなく一個小隊で来ていたのだ。こっちは一人。多勢に無勢、しかもケガのハンデつきではどうにもならず、依頼主には悪い事をしてしまった。足の痛みは大きくなるばかりだし、まさに踏んだり蹴ったり、足折ったりである。

この頃までには新幹線に飛び乗って東京から迎えに来てくれた相棒と合流、車ごと自宅まで送って貰った。相棒の家は歩いて5分ほどの近所なのだ。そのまま入院していたら、不便だけでなく、色んな面で違う結果になっていたかも知れない。

でもね、相棒の荒っぽい運転に傷の痛みは加速された気がする。
ありがたいけど痛さ倍増みたいなところwww

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その日は帰宅後、コンビニの弁当などを食べて床についた。しかしながら夜になると痛みは更に増して、ロキソニンなんぞでは何の効き目もない。ロキソニン2錠に増やしても効果なし。
ところで、夜になると熱が出たり痛みが大きくなるのはどうしてなのだろう。

大学病院に入院する

明けて翌朝、相棒の車で大学病院へ行き整形外科の外来を訪ねると30分くらいで診察室に案内された。
整形外科の外来には4人の医師が常駐しているようで、僕は三番目の部屋に通された。

『あ〜っ、これは…』
ってのが担当医の最初のお言葉。
おい、お前もか!と思ったけれど、折れているのは分かっているから驚きはしない。

でも、『とりあえずCT撮らないとダメだ。あっ、入院なんだから先に血液検査とかひと通りやって下さい。それから、いま空いてるベットは?』なんて会話を聞いていると、やはり入院なんだなと気持ちが萎えてきた。

すぐに採血、採尿、撮影室へと回された。僕としては足の痛いのをなんとかしてくれよ~ってのがホンネなんだけど言えない。男はじっと我慢なのだと高倉健さんに焼肉食べながら言われた事がある(これホント)。
採血室では本数がやたらと多かったので看護師に訊ねると、手術するから色々とチェックするのよってお返事。う~ん、手術なのだ。
それにしても、患部を見た時の外科医の反応が二人とも同じだったのが面白い。整形外科医のあるあるなのか?

採血・採尿が終ると撮影室へ回される。放射線技師ってのは医師からのオーダーを黙々とこなす職人タイプばかりだと思っていたら、この時の技師さんはけっこう話に乗ってっくるタイプだったので色々と聞いてみた。そのおかげで撮影室を出る頃にはケガについてかなりの事が分かった。

これは手術を要する典型的な骨折の一つであり、右足首の他に甲にも折れているところがあるのだけれど、そこも意外に大変である。おそらく腓骨だけでなく甲の部分も手術は回避できず、ひょっとすると内側の踝にもなにかされる可能性がある。そして入院は数週間に及ぶであろうって事が撮影室で分かった事だ。この技師とはその後は遭遇していない。

再び診察室に戻ると、やり手そうな医師は写真を見ながら、『いますぐ入院できますか?』と言う。おいおいお前もか!ってところだが、これも想定内なので驚かない。一旦は戻りたかったのだけど、細々とした準備は相棒に頼むって事で了承した。
なぜなら、この頃になると痛みはマックスであり、とにかく安静にさせてくれってのがホンネだったのだ。
期間はどれくらいかって聞くと、腫れが引いてから手術をして、手術後で最低2週間と言われた。

それにしても痛い。骨折は人生4度目なんだけど、こんなに痛かったっけ?
でも、この痛みが手術後と比べれば屁みたいなものであり、ケガの内容が想像以上に良くない事をこの時の僕ははまだ知る由もない。
ここで相棒と看護師がバトンタッチして僕の車椅子係は看護師となった。そこへ事務方がやってきて入院について詳しく説明をしてくれた。

それにしても大病院ってところは入院するにあたっての手続きがやたらと面倒である。ホテルに宿泊するのとは大違いだ。
色んな書類にサインしてやっと特別室(ウソ!)に入ったのは午後3時頃だった。もうヘトヘトのズキズキである。患者の事を考えれば、さすがに改革の余地があるのではないかと思った。

案内された僕のベッドは4人部屋の右奥(窓側)にある日当たりの良い快適な位置だった。隣とは家具で仕切られており、プライベートも確保されている。個室じゃないけどなかなか良さそうだ。相部屋となった3人は皆さん高齢者らしく、居るのか居ないのか分からないくらい静かだ。
ベッドに仰向けになっていると、担当医がやってきて簡単な予定を説明してくれた。『いますぐには手術できない状態のため腫れの具合などを観察しながら1週間後くらいにやります。とにかく足を高くして安静にしていて下さい。そのために入院してもらったのだから。前日に足を下げたまま動き回ったのが良くない』って説明された。あの担当めぇ~と思ったが仕事なので仕方がない。

担当はさきほどのやり手そうな医師であり、ここまでの会話から彼は信頼できそうだ。診察室で僕が出した山のような質問には全て即答して貰っている事からも、この骨折が定番だって事が確認できるので安心したのだ。どんな仕事でも怖いのは、開けてびっくり~ってパターンである。あとは医師の腕前しだいってところか。
整形外科の手術は工事と同じだよ~(☜個人的感想です)って言ったのは僕の娘だけど、手術の内容を鉄筋工事や大工工事に置き換えて考えると実によく理解できる。外踝に近いところにある腓骨と足甲の中骨が折れていたのだが、足首は主筋の大がかりな修復であり、足甲はスラブ配筋の手直しって具合だ。
工事が終わればあとは骨が勝手にやってくれる。あくまでイメージであり、切断された鉄筋がそう簡単にはいかない事は建築技術者なら理解できるだろう。故に原理としては鉄筋より骨のほうが簡潔である。
ただ、骨の修復そのものは治癒力に依存するので時間はかかる。そして痛い。

翌日になると再び説明と書類のラッシュとなり、病棟には様々な役割の人が働いているのだなと再認識させられる。お客さんの会社を訪問したら、担当だけでなく総務や経理などひと通りの挨拶を受けたようなものである。そんな大げさなケガじゃないのになと思いながら、それぞれの懇切丁寧な長演説を拝聴した。みなさん真面目なのだ。

実際のところでは、僕としては右足の一部が痛いだけで健康体(血圧は高いけど・・・)なのだから基本的に時間を持て余してしまう。溜まっている仕事もたいしてないし、テレビは元々見ないからヤル事がないのだ。しかも消灯が21時なので日の出より先に目が覚めてしまう。普段から3~4時間の睡眠しか必要のない体質なので、消灯時刻に寝入ったりすると夜中に目覚めるのだ。さっそく夜中の2時にパソコンでnetflixを見ていたら早く寝ろと怒られた。夜更かしではなく起床しているのに。

安静にしている事が仕事なんだけど、トイレにも行くし電話くらいする。車椅子で院内探索なんかもやってみる。すると、僕がなかなか捕まらないので入院早々にけっこうなお叱りを受けた。知人と長話しになってしまい、部屋に戻ったのが午後10時を過ぎていた時だ。携帯番号を教えておきましょうか?って言ったら更に怒られた。netflixの件もあり、早々と問題児確定である。
その後もナースステーションから見えにくい廊下を抜けてコンビニへ行ったりするのだが、夜の静まり返った病棟ってのはエレベーターの音さえ響くものだ。全部バレていたwww

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担当医は診察室であったヤリ手そうな若手、受持ち看護師は超絶にかわいいお嬢さんだ。薬剤師は大らかで優しそうだし、部屋係?(役職が分からない)は気さくで話好きな年配女性である。
ただし、コロナ対策で面会禁止&外出厳禁であり、相棒ともこの日からはこっそりとしか会えない事となりました。でも不思議な事にロビー階にあるコンビニへは行って良いのだ。
こうして僕の入院生活が始まったのでした。

※タイトル映像は【みんなのフォトギャラリー】からお借りしました。











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