【訳詩】恋人が詩人の胸で眠る フェデリーコ・ガルシーア・ロルカ


 恋人が詩人の胸で眠る フェデリーコ・ガルシーア・ロルカ

ぼくがどんなにきみを愛しているか きみには決して分からないだろう
きみはぼくの中で眠り 眠っているから
ぼくは 刺し貫く剣の声に付き纏われ
泣いているきみを覆い隠す

肉体と輝く星を等しく揺らす正しさは
もうぼくの痛む胸を貫いている
そして汚く濁った言葉が
きみの厳しい精神の翼を壊してしまった

人々の集団は 庭で飛び跳ねる
きみの身体とぼくの苦悶を待ちながら
緑と光るたてがみとの雄馬たちに乗って

でも眠り続けるんだ ヴィダ・ミーア
バイオリンの中の ぼくの壊れた血の音を聴いてくれ!
見るんだ ぼくたちはまだ追い詰められているのだから!

訳注・恋人……ラファエル・ロドリゲス・ラプン(1912~1937)を指すと思われる。初めて出会ったのは一九二九年であり『ニューヨークの詩人』の第三章がヴィセンテ・アレイクサンドレによる「ライフ」の一節と共にラプンに捧げられている。ガルシーア・ロルカの十四歳下で、両思いになった後、ロルカが処刑されるまでまで約四年付き合う。恋人の死後スペイン内戦に志願して戦死を遂げる。ラファエル・アルベルティ曰く、ラプンの死亡日はロルカ処刑日の丁度一年後であったという。情報統制の中、ロルカがその日に亡くなったとは知る由もなかった。

 『暗い愛のソネット集』より

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