[2024年版]失敗したくないDTM向けPCの選び方ガイド
前回のエントリが非常に好評で、ありがとうございます。
※追記 : 続きも書きました!
失敗したくない静音PC制作計画|かごめP (note.com)
自分でこういうの書いてても思うんですが、昔は「DTM用マシンの組み方!選び方!」みたいなサイトとか、そういう情報が集まる掲示板(主にDAW毎に)ってちょいちょいあった気がするんですが、最近は情報が分散しちゃってなかなか難しいですよね。
ということで今回は、ちょっと視点を変えて2023年現在の音楽制作用PC購入/自作で迷いがちなポイントについて僕の意見を書いておきます。
前回がOSチューニングメインの話だったので、今回はPCそのもの(ハードウェア)の選び方のお話。
※今回もWindowsを大前提に書いています
※あくまで僕の個人的な意見で、何かを強制するものではないです
■ノート? or デスクトップ
結論 : 予算が20万円くらいあるんだったら、正直どっちでもいいです。
もちろん、同じ予算ならデスクトップの方が性能は高くなりますが、この価格帯で普通に音楽制作をするならノートでも充分できます。
ただ、以前も書きましたが、基本的に予算がないならデスクトップ1択です。
10万円以内のWindowsノートでマトモに音楽制作できると思っちゃいけない。
(逆を言えば、予算10万以下でもデスクトップなら音楽制作に足るマシンが入手可能です)
デスクトップについては各要素ごとに詳述するので、ひとまずノートについて語ると、現状のノートPCならば
・ゲーミングノートの中で「グラボが弱くて(グラボはCPU付属でもいい)」「メモリが多い(最低16GB、できれば32GB)」モデル
・CPUはIntelよりRyzen(あくまで2023年現在のハナシです!)
を選ぶのが良いでしょう。
Windowsノートなら個人的なオススメは、ASUSの下記2機種
(単に僕がASUS推しなので、特にスポンサーとかそういうのじゃないです。
・ROG Flow X13
・ROG Zephyrus G14
前者はスペックを考えると驚くほど軽くて薄い。
後者は持ち運ぶにはちょっと重いけど、ビックリするほど強い(強い。
「ノートならではの機動力」が欲しい人は前者を、「ノートでもとにかくスペックを追求」したい人は後者がオススメ。
3月とか8月とか、決算前はちょっと安くなるので、前者は20万、後者は25万くらいまで下がったら狙い目かも。
■CPUはIntel?AMD?
結論 : 2024年現在ややAMD有利
CPUは、PCの中で最も大事な「脳」(CPUについての詳細はこちら)。
2023年現在、主に「Intel(Core i系列)」と「AMD(Ryzen系列)」という2メーカーのCPUが市場に存在します。
で、「IntelとAMDどっちが強い?」というのは大昔から自作PC界隈の紛争のタネですが、あくまで2024年現在の音楽制作に限るならば、CPU選択はAMDの方が「若干安全」です。
というのも、2023年5月現在、CubaseはIntelの12世代以降のPコア・Eコア両方載っている最新CPUに公式で非対応です。
※2024年現在は対応しています
Intel CPUの構造上、他のDAWでもこの「動くけどCPUをフルに活かせない」問題は発生する可能性があります。
また、Intel系CPUは現在、「ゲーム等を連続稼働させるとクラッシュする」という不具合を抱えており、対策として性能を落として稼働させるプログラムを配布中です。
ちなみにIntel派の人も、11世代以前のCPUであれば前述の問題なくDAWがフル活用できるので、例えば中古PCなどを考えている人は11世代以前のIntel CPU搭載機を選ぶのが安心です。
とはいえ、VOCALOID6のように、公式でAMDのCPUをサポートしない音楽制作ソフトも存在するので、使いたいソフトの対応状況はちゃんと調べましょう。
(これだけRyzenが流通してるのに、かけらも触れないヤマハさん、それはそれで大丈夫なんです?)
■メモリはDDR4 or DDR5?
結論 : 規格差より容量が多い方がメリット大
メモリについての詳細も以前書いていますが、要はPC内の「作業スペースの広さ」です。
規格的には「DDR4」と「DDR5」があり、規格上は後者の方が高速。
ただ、現状DDR5は規格として流通を始めたばかりで、DDR4 と比較しても、言うほど「速い」と言える感じじゃないです。
それよりも、音楽やるなら「メモリの搭載量」が圧倒的に重要。
今、音楽やるならメモリ搭載量16GBは普通、サクサクやるなら32GB欲しいです(8GBは「論外」。
「DDR4の32GB」と「DDR5の16GB」の比較だったら絶対前者ですね。
■Windows11 or 10
結論 : とりあえず11にしとけ
11のデメリットが見出せないので、普通に上げちゃってOKです。
正常にアップデートさえされていれば、動かないとかまずあり得ないです。
■Windows Home or Pro?
結論 : どっちでもいい
HomeとProの差は主にセキュリティ面と、企業などでの大量導入時の管理面などです。
正直、個人で音楽やるうえでの差は無いので、特に「Pro」という響きにこだわりがなければHomeでOKです。
■タブレットPCってどう?
結論 : できればやめたほうがいい
Surfaceに代表されるタブレットPC、魅力的ですよね。
僕も何度か使って色々試したんですが、主に以下の理由であんまりいい結果にならなかったですね。
・構造的に排熱不足で熱暴走しやすい
・構造が密集しているからか、USB周りでの不具合が起きやすい
■SSDはSATA?M.2?
結論 : M.2の方が勿論良いけど、スペック程の差は無い
現在、SSD/HDD等の記憶デバイスをPCに入れる際の方式は主に2種類(SATA, M.2)あり、単純 にベンチマークテストをすると、M.2はSATAの10倍近くのデータ転送速度が出ます。
じゃあ、実際に曲を作っていてその速度差を実感できるかというと、、、まあ差はあるけど「10倍」ではないですね。
また、M.2はSATAのSSDに比べて発熱が問題になりやすい(≠発熱しやすい)ので、接続される環境によっては思うような速度が出ないことも。
なのでまあ、正直「予算が許す方」でいいと思います。
■グラボはあった方がいい?
結論 : 中途半端なの入れるくらいならCPU付属の方がいい
なんとなく「単体グラボが入っていた方がCPUの負荷が下がったりするのかな」と思いがちですが、中途半端に安いグラボ入れるとむしろパフォーマンス下がる恐れがあります。
グラボ入れるのがどんな目的(例 : ディスプレイ増やしたいとか)であれ、音楽制作用マシンに入れるなら「GTX 1650 又は RTX 3050以上」を目安にしましょう(2024年現在の感覚。
それ以下のグラボはどのような目的であれ、入れるメリット薄いです(PC自体の安定性が損なわれる可能性も)。
あと、複数のディスプレイをPCに接続する場合、CPUオンボードとグラボの出力を両方使うのもトラブルの元。
グラボを入れたなら、極力画面出力はグラボからに統一するようにしましょう。
■ディスプレイ選びのポイントは?
結論 : ディスプレイは「縦」が大事。縦方向の解像度はあればあっただけ便利。
僕の個人的な意見にはなりますが、音楽やる際に最も大事なのは「縦横比」だと思っています。
PC用のディスプレイ、一般的に縦横比は以下のものがメジャーですね。
・16:9, 16:10, 3:2
16:9が最も一般的で一番横長、3:2が一番正方形に近い(Surface等が採用)です
これ以外に、ゲーム用途だと横長のディスプレイが流行ってますが、僕は「横長ディスプレイは音楽制作に向かない」派です。
音楽って、横はせいぜい3〜5分ぶんの情報量が出ればいいんですが、縦方向(トラック数)って下手すると1曲で200トラックとか見渡せないといけないんですよ。
1080px(16:9ディスプレイで一般的な縦解像度)を単純に200で割ると1トラック当たり5.4pxしかありません。
そんなんじゃ、各トラック内で何が起こっているかの把握は困難です。
また、人間の目って視線移動の距離が長いと疲れるんです。
超横長のゲーミングディスプレイとか、FPSで視野角広くして状況把握の精度を上げるにはとても良いんですが、音楽や映像制作に使うと、視線移動の距離が増えて無駄に疲れます。
なので、あくまで個人的な意見ですが、音楽やるなら16:10や3:2などの、「ちょっと縦長」なディスプレイをオススメします。
単純にプロジェクト全体を見渡しやすくなり、目の疲れが減ります。
又は、4Kディスプレイ(3840px × 2160px)のように、縦方向のpx数が単純に多いディスプレイも良いです。
究極言っちゃえば下記のような縦長のディスプレイなんかも良いと思いますが、DAWの画面配置が横長前提に作られてしまっているので、16:9〜3:2くらいが使いやすいかなと。
■インターネットは有線? or Wifi?
結論 : どっちでもいいです
最近はWifiの速度も上がってきたので、部屋の電波状況が悪くて速度が出ないとかでないなら、Wifiでも十分。
特にDAWのパフォーマンスに影響することはありません。
■マウス? or トラックボール?
結論 : どっちでもいい
マウスのメリットは「極めたら操作速度/精度が最高に速い」こと(ゲーミングマウスはそこが強い。
マウスのデメリットは「場所を取る(マウスを動かせる広さが必要)」「設置環境に左右される(ツルツル真っ白なテーブルなんかだと動きが悪くなる)」。
トラックボールのメリットは「設置場所を取らない」「腕の疲労が(マウス比で)少ない」こと。
トラックボールのデメリットは「操作速度/精度がどう足掻いても遅い」ことです。
上記を考えたうえで、選ぶと良いと思います。
ちなみに、僕はペンタブレットでDAW操作しています。
■オーディオインターフェースって必要?
結論 : 録音しないなら無くてもいい
前にも別エントリで書きましたが、オーディオインターフェース導入のメリットは
・楽器やマイク繋いで高品質な録音ができる
・鍵盤使用時、レイテンシーを下げられる
ことです。
どちらもやらないなら、PCのイヤホンジャックにイヤホン直結で問題ありません。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?