洞窟の底はお子様ランチ【冒険小説風】(ショートショート)
高難度の洞窟攻略。やっとの思いで奥底へ辿り着くと、一抱えもある大皿に山盛りの料理が待ち構えていた。
何だ、これは!?
香ばしく焼き上がった肉の塊。尻尾以外を、きつね色の衣に包んだフライ。ほんのり赤い粒を山のようにまとめ型抜きし、その上には謎の旗。
呆気にとられ一歩進むと、出口が閉じ、砂時計が現れた。
しまった、罠か!?
だが、時計の砂が落ちるだけで他は何も変化がない。
まさか、時間内にこの料理を食い尽くせと?
ゴクリと喉が鳴る。
俺は、山盛りの料理に立ち向かった。
頬張れば、口の中でうまみが暴れ出す肉。フライの中身はぷりぷりの歯ごたえで、添えられたクリーミーなソースの酸味がいい仕事。ほんのり赤い粒は噛むほどに味が増し、中の具材とも統率がとれている。
だが、一番の敵は量の多さ。片っ端から平らげるがきりがない。
完食前に力尽き、洞窟の外へ弾き出されてしまった。
どうやら、ラスボス攻略は一筋縄ではいかないようだ。
次は、子供の様に無邪気な心で挑んでみるか。
(418文字)
たらはかにさんの企画に参加します。
最後までお読みいただきありがとうございました💖
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?