「その幸運は偶然ではないんです」 J.D.クランボルツ
「その幸運は偶然ではないんです」 J.D.クランボルツ ダイヤモンド社(2005/11)
"Luck Is No Accident" by J. D. Krumboltz
1999年、スタンフォード大学、クランボルツ(J. Krumbolts)教授は、"Planned Happenstance Theory"(計画された偶発性理論)なる、キャリア理論を提唱しました。
18歳の時に考えていた職業に就いている人は全体の2%に過ぎないという調査結果から、キャリアプランに固執することなく、生活の中で偶然に出会った出来事(Happenstance)を活用することが大切であるという考え方です。
従来のキャリア理論では、まず自己分析・スキルの棚卸しを行い、5年後、10年後の明確な目標を定め、それに対するスキルアッププランを立案していくことが定石でした。
本理論では、あえて目標を明確にせず、想定外のキャリアチャンスを創り出すために、積極的に「行動」を起こすことが大切だとしています。
すなわち、キャリアは、予め“この仕事こそ自分に最適の仕事だ”と意思決定して選ぶというより、仕事の中で直面する困難や出会い等から学習することによって、変化し創られていくものだという理論で、自分のキャリアプランが、はっきりしないからといって気に病む必要がないというところが重要なポイントです。
これまで、先のことを考えない人だと見なされてきたキャリア目標を決められない方を、本アプローチでは"Openminded"と肯定的にとらえ、「将来こうなりたい」と計画を立てるよりも、あえて決めずに、さまざまな可能性を実際に試してみるという「行動」を重視しています。
「自分が何をやりたいかは、実際やってみないとわからない」
キャリアに影響を与える「偶然の出来事」が起こりやすくなるためには、
1.好奇心 (Curiosity):様々なことに関心を持つ
2.粘り強さ (Persistence):とことんやってみる
3.柔軟性 (Flexibility):ひとつのことに固執しすぎない
4.楽観性 (Optimistic):なんとかなるさと気軽に
5.リスクテイク (Risk Taking):飛び込む勇気を持つ
が大切で、これらが互いに関連しあって発揮されることにより、「Happenstance」が起こりやすくなるようです。
ポイントを下記します。
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■目次■
1.「想定外の出来事を最大限に活用する」
2.「選択肢はいつでもオープンに」
3.「目を覚ませ!夢が現実になる前に」
4.「結果が見えなくてもやってみる」
5.「どんどん間違えよう」
6.「行動を起こして自分の運をつくりだす」
7.「まず仕事に就いてそれからスキルを学ぶ」
8.「内なる壁を克服する」
■ポイント■
◆「人生には保証されているものは何一つない。唯一確かなことは、何もしないでいる限り、どこにもたどり着けないということ」
・「結果が分からない時も、行動を起こして、偶然の出来事を創り出す」
・「結果はコントロールできないが、自分の行動はコントロールできる」
・「結果よりプロセスが大切」
◆「予測不可能な未来を計画する必要はない」:"Proactive Openminded"
・「将来何になるか決める必要はない」
・「何年も前に決めたことで、残りの人生を苦しみ続ける必要はない」
・興味は変化するもの、いつでも変えることができる
◆「夢を実際に試してみる」:"ベストを尽くして、結果を評価"
・「"経験"は、刺激的な冒険」
・「行動すれば、次の現実」:新たな"選択肢"が現れる
・「小さな一歩を大切に」
◆「"Something New"には、リスクがあるもの」="学びの機会"
・「どうすればいいか分かっていることをやっても、満足感は得られない」
・「やってみなければ、好きかどうか分からない」
・「根拠の無い自信で、取り組んでいく」
◆「失敗を心配せずに、挑戦すらしないで逃すチャンスを心配しよう」
・「人は必ず間違えるもの。完璧である必要はない」
・「経験の先に何があるかは、誰にも分からない」
・「すべての意志決定には偶然が作用する」
◆「いつだって、未来は"今ここ"から始まる」
・「過去の年月は過ぎ去ったもの。過去にコントロールされる必要はない」
・「過去は守るべき投資ではなく、これから進むための資産である」
・「いつだって始めることができる。始めるには"今"が好機」
◆「まず仕事に就いて、それからスキルを学ぶ」
・「コミュニケーション能力」と「学ぶ意欲」さえあればOK
・「生まれたときは、みんな何もできなかった」
◆「自分の仕事の幅"選択肢"をひろげるために"行動"する」
・「夢を追い求めていく途中でも、チャンスがやってきたら掴む」
・「変化に注意を払い、心の奥からの声に耳を傾けてみる」
・「実利のなさそうなものでも、興味がそそられるものを学んでみる」
◆「友人、知人との信頼関係を大切に」
・「ポットは常に温めておく」
・「思い切って、頼んでみる」
・「労をいとわない」
◆「自縛的な"内的な障壁"から脱する」
・「変なプライド(報酬が少ない)・自尊心(失敗時の屈辱に対する恐怖)に囚われない」
・「過去の投資へ執着しない」
・「最適な"目標"は、どこにもない。すべて自分の内部にある」
[Tips]
・選択肢はいつもオープンに
今後のキャリアの意思決定をせず、積極的に模索しながらオープンマインドでいた方がいい。
・結果が見えなくてもやってみる
リスクを取り、例え失敗したとしても、そこから得るものは大きい。失敗を恐れて何もしなければ、幸運が訪れることはない。
・行動を起こして自分の運をつくりだす
過去の自分を引きずったり、現在の仕事にこだわることはない。積極的に行動を起こすことが自分の幸運をつくり出す。
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