「かぎろひ(Kagirohi)」
◆「ひがしの野に かぎろひの立つみえて かえりみすれば 月かたぶさぬ」 柿本人麻呂(万葉集 巻1-48)
「かぎろひ」とは、夜明け前のひととき、東の野のかなた一面が薄赤とも茜色とも表現できない美しい色に染まる一瞬のことで、厳冬のよく晴れた、日の出一時間ほど前に現れる最初の陽光、といわれる自然現象です。
掲題の歌は、持統6(692)年冬、柿本人麻呂が軽皇子に同行し、皇室の狩り場だった阿騎野を訪れた時、その雄大な夜明けの風景を目の当たりにし、詠んだもの。
人麻呂がこ