『映画大好きポンポさん』は映画より漫画が好みだな、という話
映画大好きポンポさん。何年前のことだったかバズった時にpixivマンガで読んでまあ面白くて。なんてものすげー作品だ!と感が動したのを覚えている。
それが映画化。めでたい。めでたいんだけど、なんとなく「映画になるのかな?」という思いがあった。映画についてのお話だけど、お話自体は「映画らしさ」にそぐわない感覚。
しかし、雨の中を車を走らせていった甲斐はあった。ちゃんと映画でした。映画、と言うか映像作品、というかアニメ映像作品らしさ全開で。きらびやかで、よく動いて、ブァーっと。お話も、ギュッと動いて、ハラハラがあって、「うおー」があって、「おおぉ」があった。声優も良かった。起用のしどころ!という感じ。小原好美ポンポさんの声が良すぎて予告を7億回くらいリピートしています。
ただ、なんだか、やっぱり、「うーん」と思ってしまった。「『ポンポさん』の映画」としては良かったんだけど、自分が気に入った『ポンポさん』とはズレてしまったな、という印象。
あらためて漫画を読んでみた。やっぱり好きだ。くらべて、かんがえてみた。
漫画は『映画大好きポンポさん(がジーンくんを選ぶ話)』で、
映画は『映画大好きポンポさん(に選ばれたジーンくんの話)』
かなあー。どうだろう。どうなんだろう。
おそらく、漫画の通り映画にしていたら、映画としては微妙だったんだろう。はじめの「映画にそぐわない感じ」も、そこから来ていたんだと思う。何が違うのかというと、漫画には「ハラハラ」がない。映画の1/2か2/3くらい来たところで来る、「うおっマジかどうなってしまうんだ」というアレ。
漫画のポンポさんは、ものすごい環境で育ったものすごいポンポさんが、ジーンくんを選び、ナタリーを選び、MEISTERを撮って、ニャカデミー!
そんな話。チャージショットを溜めて溜めてぶっぱなして当たってはい勝ちー!みたいな感じ。
一方で映画はなかなかそうはいかず。ジーンくんの楽しい編集タイム!が始まってからの紆余曲折。本当に映画はできるのか?!できない!ではどうする!あいつが!こいつが!うおおおおお!みたいな展開。波乱が起こって、みんなで色々揺り戻して、大団円!という感じ。
その波が要らんのじゃ
と思ってしまった。タイトル通り、「映画大好きポンポさん」がサイキョーなままで、あくまでも彼女の掌の上に集められたつよい連中がつよいつよいで映画ができて90分!みたいな。作者発色々なキャラクターの造形経由で示される映画LOVE、その空気感の中でひたすらに右肩が上がり続けるだけのおはなし、どうも自分はそれが好きだった。それぞれのキャラクターが出てくる時に「そのキャラクターの選ぶ映画3選」みたいなのあるじゃないですか。あれがものすごく好きで。『ペーパームーン』、いい映画でした。
ただ、まあ、どんな物語でもそういう一本調子な流れが好きなのかというとそういうわけではない。ピンチを挽回さすが主人公!みたいな話だっていい。でも、自分が読んで惚れてしまったポンポさんは、あまりにもサイキョーで、はじめから問題なんてありえないぜ?みたいな態度で、実際に話が動いてしまうと4番DHでピッチャーもやる監督みたいな大活躍を見せる天才ガールなのでした。まあ、もちろん映画でも問題が起こって以降映画作り以外で色々な手腕をご披露なさりあそばされているわけですが。ただそれでも、そもそもそういう問題が起こらないくらい天才でいてくれてもよかったな、という思いがある。
そうなると作品の「メッセージ(性)」はどうなるんだよ、というのはあるんですけどね。分かる。そこなんだよね。映画はやっぱりキャラだけでは立たんのかなあなど考えてしまう。そんで、それを語らせようとするとポンポさんはバケモノすぎてジーンくんを真ん中に置くしかなくなる。「役不足」の使いどころですね(いや、ポンポさんはおそらく意識していないけれど犠牲にしてしまっているものは傍から見てこれまでの人生で確かにあるはずで、それを彼女はそもそも把握していないだけで、とも考えられる。ただ、これを考え出すと誰だってそういうのはあるだろ!とも思えてしまい。ポンポさんについてはその比率がおかしいんだろうなとは思うけどともかくも今回の話の流れでそっちには行かないだろうなというオタクの脳内会議)。個人的にこの、ジーンくんが「映画大好きポンポさん」の掌の上から飛び出していく感じが「なんかちがう」ポイントなのでした。
個人の感想です。
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という思いを抱きつつ買って読んだマンガの2巻!こいつぁまたすごいな!1の映画対漫画でああいう(↑)ことを考えていただけに余計、王道にぐいっと下がってドーン!とぶち上がっていく感じがたまらなかった。その一方で、そこでマーティンさんなの?!という、いいのか悪いのかよくわからない、作者にというよりポンポさんに対する「?!」。そんなのもあった。はたして『2』は映画になるのかな?!
本とか買います。