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朝顔に 釣瓶とられて…

 朝顔に 釣瓶とられて もらい水
 
 昨日に続いて、加賀国の千代女の俳句の話。お付き合いいただければ、幸いです。
 この俳句は、今から200年あまり前に詠まれた句です。朝起きて、あさげを作るために水を汲みに井戸へ行くと、見事に咲いている朝顔が、井戸の釣瓶にまで伸びている。かと言って、せっかく可憐に咲いている朝顔を、無下に引きちぎるのもかわいそう。仕方がないわ、とお隣に水をもらいに行く。新妻か若い娘かわからないが、そこで繰り返されているであろう穏やかな日々を思ってしまう。
 今の時代にそぐわない単語として「井戸」がある。しかし、それ以外は、時代設定が現代であったとしても…。やはり、お隣に水をもらいに行くなんて、災害時以外には考えられない、ことか。
 時代が、人々の日々の細やかなコミュニケィションの上で成り立っていた時代だから、この句が生まれて来たのだろう。
 こんな細やかな女性の心配りは、それだけで^_^男心をくすぐると言うもの。
 茶道のお稽古では、そんな心遣いをあちこちに感じることができる。細やかな心遣いを可視化する訓練が、茶道のお稽古なのかも知れない。
 それにしても私は、おっしょさんの、どんな期待を裏切ったのだろうか。

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