百億の昼と千億の夜

そんな題名の小説、漫画がある。
子供の頃に読んだ。
アトランティスの滅亡から、気が遠くなる程の未来まで描く壮大な物語。
重要な人物が数多登場するが、その中でも阿修羅に、とても惹かれた。

今でも思い出すのは、阿修羅が、文字通り修羅の心を持つのに、一筋の涙を流すシーンだ。
確か、帝釈天との会話の中でのことだったように思う。

僕が惹かれたのは、阿修羅の純粋さだった。

叶うはずもない願いそれだけに拘り続け、全てを投げ打ち、ただひたすらに、抗い続ける行動に。

僕は子供ながらに、羨望と憧れと、自分もそんな風になりたいと思ったように思い出す。

今も、そんな願いを引きずっているような気がする。

僕はfemme fataleを求めているのだろう。

出逢えるならば。

いや、出逢いたい、と。

決して幸せになるだけではない事は分かっているのに。

知ってしまったら、ずっと心が囚われてしまうことを知りながら。

幻想の中に棲んでいるとは思えない。

空の青さと灰色の地上の間に、きっと棲んでいることだろう。

僕らと同じように。

僕の心には修羅がいる。

今もそんな風に思う。

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