第一回「親愛なる相棒ガイア氏に作品をオススメしてみよう」


 この投稿は、影迷彩が自分の好きな作品を相棒であるガイア氏にオススメしてみる投稿である。
 自分の大好きなもの、夢中になれるもの……それをどこまで文章で書ききれるかがこの投稿の目的である。
 ぶっちゃけ選出にはガイアの趣味はあまり考慮していない。彼は巻き込まれただけであり、彼が微妙な反応をしても気にしない。むしろそんな反応を見たくて選ぶまである。すまんなガイア。

 記念すべき第一回ということで、私の趣味全開で行こうかと考えたが……さすがに初回から私の好むエログロ、難解、哲学な映画は避けるとしよう。 

 もし彼が知ったあとで「意外と楽しめた」と言いそうな映画。
 私が選ぶ第一回の映画は

 「第9地区」

 である。
 知る人ぞ知るリアルSF社会派映画の名作。ここでいうリアルとは理論が現実的であることじゃなく「もし非日常の存在が我々の身近なものになったら」を現実社会と照らし合わせて描いたものである。

──この映画は、主人公が何故“あの凶行”をしでかしたのか。それを捉えた記録や周辺人物へのインタビューから探るものである。

 事の始まりは我々と全く変わらない現代社会。場所は無法地帯で有名なヨハネスブルグ。
 そこの上空に突如巨大なUFOが出現、中には飢えた宇宙人が大量に住んでいた……
 時は流れ、人間は宇宙人達を難民としてヨハネスブルグに移住させ、「第9地区」と呼ばれる区域に押し込み戸籍などを管理している。劣悪な環境の中で更に劣悪な環境であったが宇宙人はあんまり気にしていない。時々人間と小競り合いを起こしたり、UFO内にあった超技術をこっそりギャングと取引したり……人間は宇宙人と持ちつ持たれつな関係を維持しながら、より管理しやすい新たな移住区域に彼らを移住させようとしている……

 主人公ヴィカスは宇宙人との交渉(という名目の強制立ち退き)を仕事としている職員であり、上司の娘妻に持つリア充で宇宙人差別者だ。
 ある日ヴィカスは仕事中に誤って宇宙人の作った謎液を浴びてしまう。彼の身体はその影響で突然変異を起こし宇宙人化が進行し始めてしまう。
 実験目的で自分の所属していた管理局からは追われ、一般市民からは「宇宙人とF×CKして感染した」という嘘情報によって避けられ、妻からも拒絶される。

 もはや四面楚歌なヴィカスが頼れるのは、これまで差別してきた宇宙人の住む第9地区のみ。
 故郷の星に帰りたい宇宙人と協力し、ヴィカスは安住な生活を取り戻せるか──

 この映画の面白いところは、なんと言っても世界観だ。突然やってきた宇宙人を難民として無法地ヨハネスブルグに移住させたら? そこで起きるのは外見も文化も違う宇宙人との衝突や、宇宙人の足元を見て超技術を安く買い叩くアウトローな世界。
 ここまで宇宙人が下に見られ、かつきな臭いSF作品は他に類を見ないだろう。これは最早近未来の世界観というより、現実の難民の扱いをドキュメントとして描いてると言える。
 特にこの映画は、資料として監視カメラの映像や解説インタビューなどが挟まり、この映画をドキュメントとして演出させることに一役買っている。    

 ではガジェットとしてのSFはどうだろうか?
 この映画に出てくる超技術は、宇宙船の造船技術や兵器、そしてスーパーロボットである。

 そしてスーパーロボットである。(ガイア氏はスパロボが好きなのである)

 そのどれもが錆び付き、スクラップを整えたような代物であるが(ACとか攻殻機動隊にでてきそうなデザイン)、何故か動けるし殺傷力も異常に高い。それらは宇宙人にしか動かせず、宇宙人の未知としての恐ろしさや神秘性を演出している。
 映画のラストにはヴィカスがスパロボに乗り込んで敵対者を無双し殺戮しまくるシーンがあるが、そこでは雄大なBGMと相まって非常に爽快感のあるカタルシスを生んでくれる。

 一方的に狙われ追われ、人としての尊厳をなきように扱われたヴィカスが、同じく理不尽な扱いを受けていた宇宙人と協力し、たまに見捨てながらも最後は互いを信じようとし戦い抜く……硬派なSF世界観であるが、ストーリー展開は中々に熱い逃亡活劇だ。
 私が時々表現するアウトローな世界観はこの映画の影響が強い。ヴィカスの情けなさや人間臭さなども熱意持って書き込みたいが、まずはガイア氏の入り込みやすそうな部分からオススメし、彼をスパロボでヒャッハーな世界観に飛び込ませよう。

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