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[2024年7月]フリーランス活動報告と制作したMVの裏話 3年と12ヶ月目

こんにちは!動画クリエイター兼イラストレーターの無印かげひと(@kage86kagen)です。

今月も終わりですので、「今月の活動内容」と「制作に携わったMVのうち、今月公開されたMVの制作の裏側のお話」をしていこうと思います。

※なお、お取引き先との調整内容に関する事は一切表記していません。「MVのここをこうした理由は…」や「ここはペイントソフトでこうして…」、「ここは実は○○がリファレンスで…」などといった内容をお話します。


今月の活動内容

今月も毎日MVばっかり制作していました。 
い つ も の。

今月もせかせかとMVばかり制作する毎日を送っていましたが、ふと気づけば本日でフリーランス活動丸4年を迎える事になりました!
活動当初を振り返ると、”開業届日”という記念日を忘れる程ここまで忙しくさせてもらえるとは思ってもいなかったので、長く続けられていることは本当にありがたいです。

開業後はイラストレーター単体として、半年後からは動画クリエイターという役職も引っさげてMV制作を主軸として活動してきましたが、おかげさまでMV制作は200件以上携わる事ができ、そのうちイラスト&アニメーション込のMV制作はおよそ5割ほどにのぼります。
よくこれほどまで制作出来たものだな…と、自分自身を俯瞰して思います。

これらは自分のスキルの成長以外に、私の”腕”を信じてご依頼いただいた全ての依頼者さんのおかげでもあります。決しておごることがないよう、これからも真摯に制作していきたいと思います。

フリーランス4年目全体のまとめ話は毎年年末に投稿していますので、積もる話はお楽しみにということで...。ひとまずは軽く労いたいと思います。

来月からフリーランス5年目として活動していくことになりますので、これからもたくさんMVを制作していきたいと思います!!MVがご入用の方はぜひご依頼ください!!


今月投稿されたMVの裏話

※投稿していた事に今月気づいたMVも紹介しています。
※制作で使用している各ソフト名
・動画編集:AfterEffects
・イラスト制作:CLIP STUDIO PAINT(メイン)、illustrator(主にロゴ制作時に使用)、Photoshop
・アニメーション:Live2D、AfterEffects、CLIP STUDIO PAINT
・3DCG:Blender

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ルックアラウンド/feat.ひかり

こちらはsamoさんの楽曲「ルックアラウンド/feat.ひかり」になります。こちらのMV制作を担当しました。
イラストはLoku Keiさんです。

今回のMVは「絵本のような世界」をコンセプトにして制作しました。そのため、Aメロの「絵本が開く演出」をはじめ、いろんな箇所で”絵本”に関連するような演出を入れています。

また、”絵本”から連想して”紙”要素を入れるのも世界観に合いそうだな…と思いましたので、サビ部分では紙っぽさを感じられる演出を多数取り入れてみました。

天井からつり下がっている「簡単な図形」や、中央のキャラクターを「紙からイラストを切り取った」ように見える加工の仕方で編集。天井吊り下げは学校などの催し等でよく見かけますよね。

色合いについてですが、楽曲全体の雰囲気が「透き通るような、太陽のように明るい楽曲」だなと個人的に感じましたので、制作いただいたキャラクターイラストの色合いを加味しつつ、全体的にオレンジ系統の色合いでデザインしています。
とても良い楽曲となっていますので、ぜひご視聴ください!


僕ニ咲ク花 MV/Merrow(めろう)

こちらは倉本らもさんの楽曲「僕ニ咲ク花/Merrow(めろう)」になります。こちらのMV制作を担当しました。
イラストはでじたるらぶ(PIXTA)さんになります。

儚さを感じるような楽曲とイラストとなっていましたので、MVの演出についても「バチバチに盛り上げるぞ!!」というよりは、優しい雰囲気に寄り添えるよな演出を選択しました。

サビ部分などでは「桜吹雪エフェクト」を入れているのですが、これは前回の「活動まとめ記事」の冒頭で紹介した技術で制作しています。
過程をざっくり説明しますと、桜の花びらイラストをクリスタで制作後、これをCC particle worldにテクスチャとして反映、作業コンポジションのレンダラーをアドバンス3Dに変え、桜テクスチャを”曲げ”て、これを画面全体に降らせるように編集しました。

最近、AEに新しく追加されたアドバンス 3Dというレンダラーはとても便利ではあるものの、自分の今のAE環境ではなぜか3Dデータの反映に不具合が生じているため、3Dデータを反映させたい時は従来のクラシック3Dを使用しています。なんでや悲し過ぎる...。

(思い当たる節としては、以前MAXONソフトの体験版を入れた際、それ以降アドバンス3Dレンダラーで3Dデータを組み込もうとするとエラー画面がはき出るようになったので、これが陸続きになっていると思われる。
MAXONソフトをアンインストールしても状況が変わらなかったので、今はただ泣いています)

↑桜パーティクルの仕組みの説明はこちらの記事に掲載していますので、気になる方はご覧ください!


TSUNA ‐ くるりんぱっ

こちらはTSUNAさんの楽曲「くるりんぱっ」になります。こちらのアニメーション、MV制作を担当しました。

リズムが良い曲に合わせ、シュールかつゆるキャラ系外見のネコ、自動エサやり機、エサの3体が踊りなどを繰り広げていくMVとなっています。

作中、ネコがエサやり機に対して疑問やちょっかいをかける姿を頻繁に描写していますが、実際ネコちゃんはエサやり機に対してどういう感情を抱いているんですかね。お給仕さんなのか不審者なのか…。

サビ部分ではバレエのようにくるくる回転させていますが、回転についてはバレエの”ピルエット”を参考にして振りつけしました。これにプラスしてコミカルな振り付けを多数合わせて見ましたが、思いのほか面白いダンスになっているかと思われます。

楽曲はもちろんのこと、このMVについてもいい感じに出来上がっていますので、ぜひご視聴ください!


【推しの子】サインはB/歌ってみた covered by 市丸三九

こちらは市丸三九さんの歌ってみた楽曲「サインはB/歌ってみた covered by 市丸三九」になります。こちらのMV制作を担当しました。
イラストは御門さんになります。

全体的にはつらつ&アイドル感が感じられる楽曲、歌唱、イラストでしたので、MVの演出についても全体的にテンション高め&演出多めの動きを提案させていただきました。
(歌唱がすごくお上手でしたので、MV制作中むやみやたらにプレビュー再生して聞くほどハマっていました笑)

制作いただいたイラストの中には「サイリウム」も単体で描写いただいていましたので、ただ単に画面に貼り付けるだけではとどまらず、「サイリウム芸」風な動きも付けています。
このモーションは様々なバリエーションがありますので、ぜひ観察してみてください。

また、今回のイラストはお衣装が2種類ありまして、これを利用し落ちサビ部分で通常衣装→ネオン衣装に変身するシーンを入れています。
この瞬間について少し解説しますと、リファレンスとしては「魔法少女」や「プリキュア」など、変身シーンがある作品をリファレンスとして参考にしつつ、そこから今回のイメージに合った挙動を構想して制作してみました。

このシーンは演出を鑑みて1秒程度の短い尺で変身するようにしたのですが、仕組みを簡単に説明すると下記のような編集を行いました。

①2種類のイラストにそれぞれマスクパスを打ち、それぞれキーフレームを打つ(通常衣装がネオン衣装に上書きされていくようなイメージで)
②上記衣装の境目部分に「シェイプレイヤー(線のみ)」をあてて、このパスレイヤーに3種類のエフェクトを適用し、ツブツブ感感じる光に変化させる
③衣装が変わっていく挙動に合わせて②の線を移動させ、変身シーンが完成!

今回の場合、ご用意いただいた差分イラストであればこのような演出ができるなと判断したため、今回のような演出を適用してみました。


祈りの旗手/重音テト

こちらはカタクリズムさんによる楽曲「祈りの旗手/重音テト」になります。こちらのMV制作を担当しました。
イラストは大島 つくもさんです。

楽曲、イラスト共に、全体的に厳かで神聖さを感じられるような雰囲気でしたので、これらを存分に引き立てられるような演出を考案してみました。
作中には「光収差エフェクト(自作)」を頻繁に使用し、ちょっとした神々しさを表現しています。

特にサビ部分のリリックモーションについては割と凝っていまして、主にCC Slantを利用して歪曲させ、位置キーフレームを調整して動きをつけています。
ラスサビでは今までのサビよりもさらに豪華にするため、一文字ずつ「TextBox2」エフェクトを適用、ザブトンありで制作しました。
(TextBox2内にはザブトン(文字下の図形のこと)の形や角度、不透明度を調整することができるため、これを利用しました)

このリリックモーションを制作する手順なのですが、テキストを一文字ずつ打ち、これにTextBox2を1つずつ打つ…という作業だと超途方もない時間となりますので、一文字ずつザブトンを敷きたい!かつ効率よく制作したい!という願いをかなえるため、今回は下記のような手順で制作しました。

①フレーズごとにテキストレイヤーを作る
②このテキストレイヤーにあらかじめ「TextBox2」を適用しておく
③このテキストレイヤーにプラグイン「GG分解」または「NotepadNS」内の一部機能を利用し、テキストレイヤーを一文字ずつバラバラに分解
④一文字ずつ、TextBox2で適用したザブトンの角度、色合い等を微調整すれば完成

このリリックモーションを行うにあたって、「GG分解」や「NotepadNS」というプラグインという、数年ほど愛用しているプラグインをフル活用させていただきましたが、このプラグインはボカロや歌ってみた系MVのように、激しめのリリックモーションを制作する時に超絶重宝するプラグインですので、こういったMVを制作されたい方には超おススメします。

このプラグインがあるのと無いのとでは、作業効率や表現の幅に関して天と地ほどの差が出ると言っても過言ではありません。
個人的に、このプラグインを制作された方にはもう感謝しきれないほど感謝しています。
「NotepadNS」を制作された方は下記リンク先となりますので、紹介させていただきます。ぜひインストールしてみてください!



[Male Vocal Cover] Metronome

こちらはTokyoiteさんによるカバー曲「[Male Vocal Cover] Metronome」になります。こちらのイラスト、アニメーション、MV制作を担当しました。

今回のMVは本家MVをリスペクトで制作しておりますが、本家よりも演出等を幾分簡略化したもので制作しています。

メイン部分ではイラストに「モーションシンク」を適用して歌わせているのですが、今回はLive2Dではなく、AE内でつ一つ一つ手打ちで制作しました。
(母音aiueo+口閉じ分の口の6種類の差分を用意し、これをAEに取り込み、それぞれに不透明度キーフレーム(100か0)を適用、歌唱に合わせてこれらを調整し、歌詞に連動して口元が動いているように編集しました。)

モーションシンクシーンと同じ場面で表示している「背景の図形の変化」モーションについてですが、こちらもほぼ手打ちで編集していますが、この作業に取り掛かる時は、数年前に学んだ「モーフィング」を利用することを考えていました。

これを利用すると、図形を別の図形に簡単に変化させることができ、今回の表現にもっとも適しているのでは!?と思い何回かロケハンを行いましたが、ところがどっこい今回のシチュエーションですとあまりうまくいかず、結局手作業で図形を変形させることにしました。
あらかじめ学んでおいた技術が存分に活かせなかった稀有なパターンですが、また別の機会で活かせる場面があると信じてる...。

モーフィング・・・シェイプ(図形)を別のシェイプに変化させる動画編集などの技術の一つ。変形する途中の映像も見せる事ができるため、そういった表現を求めている方が利用する。
AE内でも手順を踏めばモーフィングみたいな動きを制作できるが、”パスの頂点”の仕様が複雑であるため、その影響で思い通りにいかないことが多々ある。思い通りのモーフィングをさせるにはそれなりの独学が必要。

(今回の動きの場合、本家MVをよくよく観察したところ、ただ単にモーフィングを適用すればいいっていう編集方法をしていなかったので、かえって手打ちの方が調整しやすいと思い、そうすることにしました。)

こちらのMVもぜひご視聴ください!


まとめ

いかがだったでしょうか?
今月は6件のMVがお披露目されることとなりました。来月もバリバリMVを制作していきたいと思います!

最後までご覧いただきありがとうございました!
それでは!


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