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近代人気歌人再発見 〜片山廣子

NHK短歌4月号「近代人気歌人再発見」で片山廣子が取り上げられていました。

片山廣子という歌人のことを実は全く知らなかったのですが、なかなかのロマンチストのよう。
芥川龍之介との文学上の交流があって、お互いに刺激し合い、尊敬し合う関係ということで、手紙のやりとりなどが残っていて、プラトニックな恋愛関係だったことが伺えるという話に驚きましたが、歌を読んでみると確かにそうだったのではないかと思えました。

亡き友のやどりし部屋に一夜寝て
 目さむれば聞こゆ小鳥のこゑこゑ  (「野に住みて」より)

いくたびか老いゆくわれをゆめみつれ
 今日の現在は夢よりもよし  (同)


芥川亡き後に詠んだ歌ですが、側にはもういない人なのだけど、その距離に絶望していないというか、もともと距離は関係なかったというか。
精神的な結びつきが強いと、即物的な肉体の存在感に左右されないで、その人の存在を感じることが出来る面があるのかもしれません。

芥川は片山の十四歳年下だったとのことですが、年齢というのは、確かに才能に惚れて始まる恋愛の場合、特に問題にならない気がします。
ただ、芥川は複数の女性との噂がありましたので、だから敢えて片山はプラトニックな関係を選んだとも言えるし、または芥川の方がシバの女王へのソロモンそのもののように、片山との間では他の女性とは違う関係でいたかったのかもしれないけれど、どちらにせよプラトニックの方が長い目で見ても、結果として芥川との関係を大切にできたのかもしれませんね。
ただ、私は精神的な部分と身体的な部分を切り分けて恋愛できるタイプではないのですが、そういう気持ちは根底に皆持っていると思うので、この二人にも見えない葛藤はあったのではないかと推察します。

この辺り、ノンフィクション作家のどなたか、この二人の関係を掘り下げている方の著書があるようなので、読んでみたいと思います。

また、NHK短歌4月号「念力短歌入門」では、短歌の基本中の基本の型について触れられていました。
知らず知らずのうちにやっていることではあると思いますし、必ずしもこの型が一番よく伝えたいことを伝えることができるわけではないとは思いますが、簡易で重要、伝統的な技法と思います。

それは、上の句では景色を謳い、下の句で心情を謳うということです。

上の句から心情をずっと歌いがちなので、気をつけたいと思いました。

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