3Dプリンタについて考察する。

今回、2020年に2台目の3Dプリンタを組み立てました。

TRONXY X5SA というマシンです。

320x320x400mmの可動域は大きい方だと思います。
価格もかなり安く、アマゾンで注文しました。

画像1

3Dプリンタに必要な知識は次のようになります。

1 機械の知識。
機械とは、構造部と可動部とに別れます。どちらも精度に重要な意味を持ちます。
構造部は、周りのフレーム、可動部を支える部分。ここが華奢だとグラグラして機械としての性能が担保されません。
可動部は、ステッピングモーターやベルト、プーリなどで構成された部分と樹脂を運ぶ材料リールからホットエンドと呼ばれる加熱部までの経路です。
この機械はXとYを2つのモーターで連携してヘッドを動かす、面白い構造をしています。
この構造CoreXYが面白いと理解できるセンスが欲しいです。

画像2

2 電子回路ハードウェア。
ステッピングモーター駆動回路やヒートベッドなどの加熱部とそのセンサーを司るマイクロコンピューターとその電力供給回路。私の機械ではArduino と呼ばれる汎用型のワンボードマイコンと周辺回路が使われています。
あと、それに電力を供給する電源。

3 ファームウェア
そのワンボードマイコンを動かすプログラム。ハードウェアとソフトウェアの中間にあるのでファームウェアと呼びます。と言っても、普通にOSと呼ばれるものでもあります。
普通に使っている時は弄ることはありませんが、ハードウェアの構成を変えたり、種類を変える時は操作する必要があるかもしれません。
Arduinoはパソコン上でソフトウェアが公開されていて、開発改造がしやすくなっています。

4 ホットエンドと樹脂の知識
樹脂は大きく分けて、熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂に別れます。
プラスチックと呼ばれるものにはとても多くの種類があり、これはFDMと呼ばれる熱可塑性を使ったプリンタです。
PLA、ABS、PETGなど様々な種類があり、適材適所で応用して行くためにはそれぞれの特徴を調べることも必要です。また常に新しい素材が開発されています。プリントされた物体を加工したり、接着、塗装する必要があるかもしれませんし、それを考慮して物体をデザインする必要があります。

5 工作機言語の知識
プリンタに動作データを送る形式です。USBケーブルやマイクロSDと言った媒体を介してデータを渡します。その プログラムというのはGコードと呼ばれる工作機械特有の司令コードの羅列で、先のワンボードマイコンが一行づつ読み取って動作に変えます。加工時間や材料の使用量などに注意する必要があります。
スライサーと呼ばれるソフトでGコードを構築しますが、その時ヘッド温度、テーブル温度、加工スピードやリトラクト、充分率など様々な設定項目があります。

6 3Dデータの知識
3Dデータはパソコン上でCADソフトなどで作られますが、その保存形式について、STLと呼ばれるあまりよろしくないデータ形式が使われています。
これは、形状を小さな三角形の集合で置き換えて、丸いものでも四角いものでもすべて、小さな三角形で構成されているデータ形式です。
プリントデータはこの形状を下から輪切りをして積み重ねて形状を構築していきます。早くソリッドデータを扱えるようにならないかなあ。
一旦STL形状になってしまえば、形状の逆エンジニアリング解析がしにくくなり、もうデータの変形や解析が難しくなります。それが著作意匠的には都合が良いのかもしれませんが。

7 モノの知識
3Dプリンタで作れるものは、置物やアクセサリだけではありません。
寸法精度が要求されるもの、実用的に使われるもの、などがあります。
手で持って使うもの、なにかに取り付けて使うものなど、よく構造を知って置かなければならないでしょう。
必要な強度、肉厚なども考慮する必要があります。

8 形状の知識
3Dプリンタはどのような形状のものも作れるわけではありません。
特に今回のFDM方式の3Dプリンタは、オーバーハングした物体や穴の空いた物体、空中に浮いたような形状は作るのが難しいのです。
サポートと呼ばれる支えの捨て材を一緒にプリントして構成することも多いのですが、綺麗にできなかったり邪魔になったりします。
できれば、データ作成時になるべくオーバーハングのない形状、必要であれば分割して後に組み合わせて構築する形状などに設計変更することもあるでしょう。

9 3D-CADの知識
イメージを3D形状に構築することが一番難しいかもしれません。
3DーCADを使いこなすようになりたいものです。
フリーのソフトウェアなどありますが、おすすめはオートデスクの「Fusion360」です。
個人や小規模メーカーなら無料でライセンスが得られます。
驚くほどの高機能ですよ。昔なら100万円じゃ買えないほどの。









この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?