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チープトイ・ストーリー

大人になってから集めたおもちゃが結構ある。
レゴやプレイモービルが好きで、少しづつ、少しづつ増えていった。
楽しい気分にさせてくれる色、シンプルな形、安心感のあるしっかりとした作り。
… ところがそれらとは真逆のおもちゃもかなり好きで、気がつくと、そこ ここにヘンテコなものがあるという状態になっていた。

こんなのとか…

雑貨屋で見つけた、映画『トイ・ストーリー』のニセモノおもちゃ。
大きさは手のひらサイズで、ご覧のイラストどおりのもの。
いかにもニセモノな作りで、これを欲しがる子供はいないであろうという品。
ホンモノとまったく違うボディの色などよりも、まず目がいったのがこの顔!
相当よっぱらっているのでは?というような顔色に、無限の彼方、ならぬどこか別の彼方へいっちゃっているような目つき。こんなの買う人いるのかなぁ… と思いながらしっかりとこの人形片手にレジへと向かっている自分という矛盾。
いまだに見て笑えるのでいい買い物であったと思う。

目力強し!

こちらはまた別の雑貨屋をウロウロしている時に見つけた人形。
丸テーブルの上に他の雑貨とともに、素っ裸の状態で座っていた。
イラストでは真正面から描いたのでいくぶんソフトな表情だけど、上から見下ろす視点だとかなりインパクトのある表情をしている。
薄暗い店内にあってもキラキラ、ではなくギラリと青く光る、頭の奥で何か企んでいそうな目つきに、ふくみ笑いをたたえた口元。はっきり言って、コワイ。手のひらサイズのくせに異様なまでの存在感がある。
レジへ持って行くと、店員さんが一瞬凍りついたのち『この子イタリア製なんですよ〜』と話しかけてきた。それよりも凍りついたとき何を思っていたのかが知りたいが… 。

すごいんだかへなちょこなんだか

お菓子のおまけのおもちゃも味わい深い。
昔グリコのおまけのプラスチック製のミニチュアおもちゃが好きだったのに、ある時から木製のおもちゃに変わってしまったのがざんねんだった。
現在でも昔のグリコ風なおまけを楽しめるお菓子といえば『フエラムネ』だ。
中身がわからない小さな箱から出てくる、チープな雰囲気ただようプラスチック製のおもちゃ。何が出るのか毎回わくわくさせられる。ただしおもちゃのクオリティはグリコのそれとは雲泥の差で、出てくるモノの謎度がすごい。
正体不明な動物やヘンな怪獣ならまだ当たりといえるが、手の上に転がり出てきた時に思考を停止させられるような、何かよくわからないモノも多い。

とはいえよくよく見ると、とても小さなおもちゃなのに、動物は毛の一本一本が細かく作られていたりしてなかなか手がこんでいる。すごいな〜と思うと同時に、やっぱりわけわからないなぁ… という微妙な気分に毎度なるのだった。

捨てられないのです

子供の頃ガチャガチャで出たこんなモノも。
今のガチャガチャではお目にかかれないであろうチープなおもちゃの数々はもうまったく手元にないけれど、これだけは大掃除やら引っ越しやらのガラクタ処分行事から毎度生き延びて今も机の引き出しの中に棲んでいる。
目にするたびにイラッとさせられる表情なのに、なのに、なぜか捨てられない。

これらのチープトイの魅力は何かしら心をつっつく点があるということなのだろうか。目にしたとき呼び起こされる感情の形がなんであれ。
ヘンテコだけど、それってすごい。すごい… んだけど、やっぱりなぜこんな作りになったんだ… (微妙な気分のループは終わらない…)

#絵ざっ記
#エッセイ
#おもちゃ

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