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「子持ち様」と「無産様」悪いのはどっち?


サムネイル画像は以下からお借りしています

序論

最近「子持ち様」と「無産様」の論争が各種SNS上で話題のようです。
要約すると「子持ちの同僚が子供の発熱などを理由に頻繁に仕事を休み、その分自分の仕事が増えて不満である」ということのようです。子持ちの方は頻繁に休む権利があるということで「子持ち様」(以下子持ち)、逆に子供がいない人は「無産様」と揶揄されているようです。

さて、カゲラボ(ほぼ)最初の記事として、この問題に関する所見を述べたいと思います。結論としては「不満をもつことはない」と私は考えています。もちろん「科学的」を名乗る以上客観的な意見を志します。

本論

さて、私も子供を持つ父の一人として、子供を理由に休むのは申し訳ない気持ちになることはわかりますし、同僚が同じ理由で休むことにも直感的な抵抗はありません。また、私の職業である大学教員は代替が効きにくく、休んでも結局復帰後の自分の仕事が増えるだけという場合も少なくありません。正直言って上のような不満には縁がないとも言えます。

ではなぜ私には不満がなく、上の記事の投稿主さんには不満が出てきてしまうのでしょうか。これはひとえに「子持ちの同僚が通常通り働いてくれていることを基準と考え、休むことで仕事量が増える」と考えているためではないかと思います。つまり、「子持ちの同僚が休んでいる状態を基準と考え、出勤時は仕事量が減る」と考えるべきです。

そんな馬鹿なと思う人もいるでしょうが大真面目です。
なぜなら「会社の方針として」子持ちを雇用しているからです。
考えてみましょう。国内外問わず、企業の中には出産祝い金をだしたり、子持ちを積極的に雇用したり、傷病休暇を独自に設けるなどして子持ちを積極的に優遇している企業はたくさんあります。これはすべての企業に設けるべきだとは一切いいませんが、そもそも何のためにそんな制度を設けたかというと「労働者の働きやすい環境を作るため」「老王者数を確保するため」や「企業イメージを向上させるため」と考えるのが普通でしょう。そういった企業は経営戦略のひとつとして子持ちを採用しているのです。

これは極端な例ですが、もしある企業が子持ち労働者を大勢雇用し、その結果子供絡みの休みなどで業務が回らなくなったとしたら、その責任は雇用した企業にあることは明白でしょう。つまり、上記制度を設けたり、子持ちを採用すること自体「雇用主」の責任のもと行われているというわけです。

誰を雇用するかは企業次第

今回は例のため「子持ち」と限定した書き方をしましたが、これば別に子持ちに限った話ではありません。一般的に仕事をする能力が低い傾向にある人材としては「子持ち」の他にいわゆる「老人」「中卒」「持病持ち」「無職時期がある」などが挙げられると思いますが、これらのような人であってもなくても、雇用した以上はその人達が期待に沿った業務ができなくてもそれは会社の責任です。

さらに、これは別に子持ちや能力が低い人に限った話ではなく、勤務する人数等にも同じことがいえます。もしあなたが頻繁に残業を命じられたり、そもそも人手が足りなくて1人あたりの業務が多すぎる場合、当然文句を言う先は企業ですよね。

すなわち、今回のような「子持ちの休みによって自分の業務が増えた」場合には、それが許容範囲内であるようにするのが企業の努めです。仕事を回された人は、それが勤務時間内に終わる場合には気にしてはいけませんし、超過するようであれば残業代を請求しなければなりません。また、その増えた仕事を別の同僚に依頼しなければならない場合も頭を下げる必要はなく、「(子持ち)が休んだ分のお仕事の一部をお回しします」などといえばよいのです。

以上をまとめると以下の通りになります

  • 子持ちの休みによって増えた仕事は、雇用主が想定している(はず)の仕事量であって、決して仕事が「増えた」分ではない

  • 子持ちの休みによって仕事に何らかの不都合が生じる場合、その責任は企業側が負う

  • 子持ちの休みによってすることになった仕事に関しては、増やされた側が責任を負ったり頭を下げたりする必要はない

こんな結論になります。
この引用先の人は、不満があるなら今すぐ上司に申告すべきですね。

他の意見に対するコメント

なお、引用先のコメントや発端となったXのリポストとしては、「子持ちを優遇するのは社会の責任」とか「自分も子供だった時代があるんだぞ」といったコメントが散見されますが、全くナンセンスだと思います。

少子化の激しい日本において子持ちを優遇することは「社会の責任」とも言えるとは思いますが、これを遂行すべきなのは一個人や一企業ではなく国や地方自治体が先導していかなければいけないことです。個人がこれに習って子持ちを優遇する必要はありませんし、逆に国はその責任からこそ、一見差別的な施策でも遂行することができるというわけです。

理想と現実の差

もちろんですが、上のような主義主張はあくまで理想論であり、実際に遂行できる場合ではないかもしれません。同僚に仕事を回す際に頭を下げないと怒る同僚もいるでしょうし、「子持ちの休みにとって仕事が増えたからと言って、その分の残業代は出さん」といった上司もいるかもしれません。ただ、このような人の主張は間違っていることは上の通り明白ですし、現実問題としてそういった人たちとどのように付き合って行けばよいかという話は、いつかまた別の記事にて

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