加賀谷誕生~生まれた時には死んでいた~

某年某月某時某分。
わたしを孕んだ人間は陣痛促進剤を投与されていた。
「陣痛の波が来たと思うとすーっと……消えて行って……」
とわたしを産んだ人は語る。
まあわたしを産んだ人は割とどうでもいいのでその辺の苦労話は知らん。
ともあれ四十八時間以上かけて、結局吸引分娩で掃除機の如く吸われて(わたしあれ経験ないんですけどトイレのキュッポンとどっちが近いんでしょう…)生まれたわたしを看護師は。
「赤ちゃん疲れてるみたいですから、別室で休ませますね~」
わたしを産んだ人間、赤子の顔も見せてもらえず困惑。
わたし、記憶がないので知らんがなでありますが、産まれるなり保育器に箱入り娘。

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