病理検査の結果を知った日、堰き止めていたものが溢れ出した

結果の記録

病理検査結果を知る日。 多分悪性だろう。と思ってる。
でも半分、血尿出てないし、細胞診でもグレーだったし、良性ってこともあるかもしれないと、少し期待してた。

待合スペースでまつ。

こんなこと、考えてもしょうがないんだけど 泌尿器科の隣が産婦人科。
女の方がたくさん、旦那さんもいらしたりして。ぷっくりとふくれたお腹で歩いてる。
もちろんいろんな事情の方がいらしてるから、私が偏った見方をしてることも分かってる。今になってみれば、そう思う。妊娠だって一筋縄じゃない。みんな色んな不安をかかえて過ごしている。でもこの時はそこまで気持ちを切り替えられなかった。

でも、わたしも、ここじゃなくて、あっちに座りたかったな。 そんなことを思ってしまう。
わたし、あっちに座れるかな。

呼ばれる。 夫も一緒に結果を聞いた。

・結果は膀胱癌で除去したのは2つ。
・いずれも表面的な癌で完全除去済み。 1つは表面癌の中でも最も悪性の低い(low grade G1)、もう1つがやや悪性の高い(high grade G2)。
・1つはやや再発リスク高の癌細胞が見られた状況なので、BCGによる治療が必要。

質疑

Q なぜ除去したのに再発率が高いのか。

A それについては研究の途上で、明確な回答はない。
 目視できない範囲にがん細胞が潜んでいるなどが考えられる。
 基本的には継続的に内視鏡で検査を行うので、再発したとしても初期に発見して対処を行うという風になる。

Q 術後治療の、副作用はどんなものがあるのか。

A 人による。通常、結核菌を入れるので稀に、高熱が出たり結核の症状が出る。そのリスクを事前に把握するために、反応テストを行う。

Q 今後の治療計画。

A 具体的にはツベルクリン反応の結果次第だが、2週間または1週間に1回薬を注入するのを6回行なう。
初期に集中的に治療を行うことでやや再発率が下がることが研究で証明されているから。

一通り聞いて、ツベルクリンの注射をして、部屋を出る。

わかってた。わかってたけど、やっぱり癌だったか・・。何度も頭の中を言葉が行き交う。訪れて来た事実。

夫とは、初期に見つかって本当によかったねと言い合った。

夫の深い心境は聞けていない。でも、心からそう思ってくれているようだった。

堰き止めていたものが溢れ出してしまった

家に帰る途中でまずは母に結果報告。医師に言われたことをそのまま。

「再発したとしても、初期に治せはいいんだよ」と自分にもう一度言い聞かせるように、母にも送る。

母は入院中、病室で、なんでこの年齢でこんな病気が発生してしまうのか。
なんでか。なんでか。と何度も挨拶にきた先生(麻酔科なんだけど)言っていた。
「お母さん、麻酔科の先生だから」と何度か言っても、その問いかけはやめなかった。
きっと、このメッセージを受け取った母にも、またいろいろな想いが流れたことだろう。それでも、画面上に返って来た母の返事は気丈だった。 

「大丈夫、大丈夫」
「そこまで悪性度が強くない」
「初期に発見できるシステムに入れた」

何度も心の中で、また声に出して話していたけれど
なんか、やっぱり何かの瞬間に溢れ出した。

急に涙が出て来た。

「ごめん」

「子どももできなくて、その検査の最後っていう時に癌まで見つかって。ごめん。ごめん。私と結婚したばかりに。夫にも、お義母さんにも。悲しい。悔しい。ごめん。」

夫は、なく私をぎゅっとつつんで
「何があっても、二人でいれば楽しいから大丈夫。子どもも諦めてないよ。大丈夫。大丈夫。」
ありがとう・・。

夜、父から電話があった。 父は、とても悲しんでいた。「なんでって思う」と、少し掠れた声で、何度もそう言った。

心配をかけて申し訳ないこと。
でも、そこまで心配をしないで、定期的にメンテナンスできるのだから、と。


弟からは、とても悲しんでいるメッセージをもらった。
あまり悲しまれると、もう自分がどうしようもない病のように思えてくるから、そこまで悲しまないでと伝えた。

でも、これは本当にそうで、あまりたくさん悲しまれると変な気分になる。

私はまだ元気。まだまだやれる。 そう思ってるから。

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