校庭の桜

桜の季節になると
母校の桜を思い出します。

遅咲きのその桜は
毎年4月のわたしたちを
花々で迎えてくれました。

校舎の屋上から見下ろせば、
足元で遊ぶ
ムクムクしたピンクの子犬のようでした。

2階の図書室から見れば
真横のその桜は
手をつなぎたくなる友達の顔に変わります。

根元から見上げれば、
なにやら
空からの神聖なメッセンジャーにも思えました。

花が終わると
緑の風を起こして
青春のほてりを冷ましてくれたものです。

秋には色づいた派手
私たちの若さをたたえてくれました。

冬にはすっかり葉を落とし
その木が桜だと忘れてしまうほど
私たちを解き放ってくれました。

今、あの校庭の桜は咲いているでしょうか?
そう思うとき
私は空を見上げて
校庭の桜からのメッセージを探しています。

舞い散り
舞い降りてくる
懐かしいメッセージを探して・・・。

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