見出し画像

私のかがみの孤城

#かがみの孤城感想文

この本初めて出会ったのは、高校1年生のときに参加した、「ビブリオバトル」でした。私は、川村元気さんの『世界から猫が消えたなら』で出場し、あっけなく初戦敗退。そのとき、違うグループで決勝に進まれた方が紹介していたのが、『かがみの孤城』でした。ビブリオバトルというのは、「人を通して本を知り、本を通して人を知る。」というキャッチコピーのもと行われており、『かがみの孤城』が素晴らしかったのか、紹介した方が素晴らしかったのか、今となっては思い出せませんが、とにかく、とても興味をもったのを覚えています。

高校3年間図書委員だった私はそれなり司書の先生とも仲がよく、早速先生に言って図書館に『かがみの孤城』をいれてもらうことにしました。しかし、待ちきれなかった私は書店に走り、手の出しにくかった単行本を迷わず購入。家に帰って一気に読み進めました。

序盤は読むのが苦しかった。こころの悲痛な思い、城の仲間たちが仲良くなるまでの紆余曲折。仲良くなってからも素直になれないマサムネ、突っ走ってしまうウレシノ、一人だけ違うと悩むリオン、大人から逃げるために大人になろうとするアキ、不器用なフウカ、やりたいことが見つからないスバル。そして、終盤に明かされるそれぞれの現実での苦しみ。オオカミさまの悲しい正体。怒濤の結末。さすが辻村さん。中学生の多感な時期、素直になれなくても、お互いに助け合おうとするその姿に感動しました。

大学生になって、本好きの知人に『かがみの孤城』を紹介しました。その友人は、「辻村さんの心理描写が好き。中学のときに出会っていたらまた違った読み方、共感ができたのだと思う」と話していました。私も同じ意見です。私は、不登校を経験したことはありません。だから、この本に共感できないのかと言われるとそんなことはありません。きっとこの本は不登校を経験した人の心も打つのでしょう。でも同じように不登校を経験してない私の胸も打ちました。だから、不登校を経験していようとしていなかろうと、この本は読まれるべきなのだと思います。

「学校に生きたくない」程度の差はあれ、誰しもが1度は思うことだと思います。それでも本当に辛かったとき。学校に、会社に、行かなきゃいけないところに「行きたくない」。それが転じて「生きたくない」になってしまう日本人の何と多いことか。

それでもやはり、私は伝えたいのです。「生きて」と。「私たちは助け合える」と。「一人じゃないんだ」と。「逃げてもいいんだ」と。そう思ってもいいんだと教えてくれた本があるから。『かがみの孤城』に出会えたから私は強くなれました。

作者の辻村深月さん、その他この本に関わる全ての方々に感謝を込めて。ありがとうございました!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?