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1 地球にいのち宿るわけ -幸運-


 気がつけば

気がついたときもう僕は
日なたで飴をなめていた
なぜかこの世に生み出され
やさしい風を吸っていた

 よきリズム

山のお寺の鐘が鳴る
赤い夕日の丘の上
朝は再びここにあり
みな七五調よきリズム

 

 朝が来る

地球というコマ自転中
だから日が出て月が出て
星座も東から西へ
コマのおかげで朝が来る


 公転中

地球は秒速三十キロ
深夜も東へ飛んでいる
一年かけて太陽を
ぐるっとめぐり九億キロ


自転… 天体自身の回転運動。地球は北極と南極を貫く地軸の周りを一日一回転する。   
公転… 天体が別の天体の周りをめぐること。地球は約1億5千万キロメートル離れた太陽を一年かけて一周する。



 季のめぐり

春がければ汗の夏
秋も熟れれば冬ごもり
季節のめぐるわけ問えば
地軸が少しかしいでる

 不動体

コペルニクスの地動説
理解はしても実感なし
星辰せいしん西へただ流れ
地球はじっと動かない


 三男坊

こんな地球の始まりを
探ってみればバイブルの
『創世記』とは大違い
なんと八つ子の三男坊

 

 ビッグバン

宇宙の発端びっくり箱
虚無暗黒の空間に
自爆みたいなビッグバン
大量のガス八方へ


地軸… 地球の自転軸。太陽をめぐる公転平面に対して23.4度ほど傾けたまま公転している。
コペルニクス… 室町時代ごろのポーランドの聖職者。天体観測を続けて「地動説」を唱え、キリスト教的宇宙観を覆した。
星辰… 太陽・月を含む星々。または星座のこと。
『創世記』… もとはユダヤ教聖書の天地創造物語。神の指示で星と夜、空と海、草と果樹などが創られていく。
ビッグバン… 137億年前、宇宙をスタートさせたという超大爆発。宇宙の膨張は今も続いている。



 膨張宇宙

やがて生まれた星々は
光とともに飛び散って
宇宙の径を増していく
各所にガスうん星のくず

 

 巨大雲塊

ビッグバンから百億年
広い宇宙の片隅に
ガスや星くず集まって
巨大雲塊うんかい出来上がる 


原始太陽… 生まれたばかりの太陽。
核融合… 水素やヘリウムなど軽い原子核が重い原子核に変わる反応。膨大なエネルギーを生み出す。



 核融合

渦巻うねる雲の海
中央部分が凝縮し
原始太陽あらわれる
光のもとは核融合

 

 回転盤

周辺部分の雲海は
うねり続けて円盤状
ここが水金地火木土
八惑星の生誕地

 原始地球

地球の素材は微惑星
十兆個ほどまず集結
さらに肥大化しつづける
四十六億年むかし

 

 熱発生

それから数千万年後
直径やっと二千キロ
中心部には凝縮熱
ウラン崩壊熱たまる


微惑星… 原始太陽の周辺部に漂っていた微小天体。
凝縮熱… 無数の物体が狭いところに押し込まれたとき発生する熱。
崩壊熱… 放射性元素が壊れるときに出す熱。
引力… 物体が互いに引き合う力。物体の質量が大きいほど強い。
マグマ… 強い圧力で生じる高温の溶融岩石。
ケイ素… 地殻の中では酸素の次に多い元素。


 

 マグマ状

太れば強まる引力に
なお降り注ぐ微惑星
径が三千キロ超すと
地球深部はマグマ状

 

 鉄の核

やがて一つに溶け合えば
岩のケイ素は表層へ
鉄・ニッケルは深層へ
比重のままに浮き沈み

 原始大気

なおもマグマは煮えたぎる
二酸化炭素や水蒸気
絞り出されてガス化して
空に分厚く満ち渡る

 

 冷めるマグマ

今の地球の直径は
一万二千七百キロ
その八割に届くころ
マグマの温度下がりだす

 

 熱い海

千二百度を割ったころ
地表のマグマ固化はじめ
数十万年滝の雨
原始の海は熱かった

 

 地球晴れ

大気の八割占めていた
水分あらかた降り去れば
空はすっきり超快晴
残るは二酸化炭素のみ

 炭酸水

地球の表面さらに冷え
海水温も落ち着くと
二酸化炭素が溶け込んで
海水まさにソーダ水

 

 石灰岩

炭酸水は海中の
カルシウム分と化合して
石灰岩に変わるため
二酸化炭素は溶けつづく 


炭酸水… 二酸化炭素が多量に溶け込んだ水。
石灰岩… 炭酸カルシウムを主成分とする堆積岩。水中で作られる。
化学進化… メタンなど単純な炭素化合物がたんぱく質・核酸など生命に欠かせない高度な化合物を生み出していく過程。分子進化とも。



 化学進化

海ではメタンやアンモニア
たまたま触れて絡み合い
長い分子を創り出す
例えば尿素・アミノ酸

 

 いのち誕生

地球最初の細菌は
海底火山の熱水を
浴びて登場したという
三十五億年むかし

 光合成

それから数億年ののち
日差し明るい海面に
住み場広げた微生物
光合成にトライする

 

 自給自足

光合成の原料は
二酸化炭素と水分子
太陽エネルギー浴びて
栄養分を自給する

 酸素排出

このとき栄えた植物は
藍藻らんそうシアノバクテリア
五億年間増殖し
酸素たっぷり吐き出した

 

 オゾン層

酸素が海に充満し
余分は大気に仲間入り
さらに昇って成層圏
そこでオゾンに変化する


藍藻… 青緑色の細菌藻類で、糸状につながったものもある。
成層圏… 高さ10~50キロ上空の希薄な大気層。オゾンを多く含む。



 細胞融合

単細胞の生物も
融合すれば多細胞
他の細胞を食べるなら
もう動物に違いない

 

 大発生

今から六億年むかし
クラゲ・ゴカイが大発生
さらに新種と入れ替わり
カンブリア紀は大賑わい

 植物上陸

天にオゾンの層が出来
日差しの紫外線減れば
まず植物が上陸する
あと追いかけて動物も

 

 地上征圧

動き回れる動物は
自給自足の植物を
隠れ家としてエサとして
地上くまなく行き渡る


カンブリア紀… 古生代の最初期に当たり、5億年前を挟む約5000万年前。多様な生物が登場した現象を「カンブリア大爆発」と呼ぶ。
紫外線… 波長の短い紫外線は生命体にX線に似た障害を与える。そのためオゾン層にさえぎられるまで動植物は海から上陸できなかった。



 不毛環境

水・金・火など七惑星
地球とともに育っても
いのち育む環境に
恵まれずして無生物

 

 大きな差

月ほど小さい水星は
引力不足で大気なし
太陽からは遠すぎる
火星はいかにも熱不足


水の惑星… 地球の呼称の一つ。地球は水が豊富な上、気体や固体に変化しやすい温度環境に恵まれている。



 いい湯加減

兄の金星お日様に
近寄りすぎてサウナ風呂
弟火星は震えてる
申し分ない地球の湯

 

 豊かな水

水の惑星わが地球
さらさら流れ滝を落ち
湯気になったり凍ったり
まか不思議なる星回り

 七十億人

地球は人を七十億
リンゴの赤い皮ほどの
薄い地殻に住まわせる
動植物やウイルスも

 

 知性人

生命体の誕生は
百三十七億年の
宇宙暦でも稀有なこと
ましてや知的生物は


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