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ファンデルワールス力

どのような分子の間にも働く弱い引力。

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高校化学では、分子間力とファンデルワールス力はほとんど同じ意味で使われることが多いです。厳密には、ファンデルワールス力や水素結合などをまとめて分子間力といいます。

ファンデルワールス力の要因には、瞬間的に生じる電荷の偏りがあります。分子量が大きい分子ほどファンデルワールス力が大きいと言われます。これについて少し考えてみましょう。

一般に、分子量の大きい分子は電子をたくさん持っています。分子が持つ電子の数が多いということは、それだけ瞬間的な電荷の偏りが生じやすくなるということです。よって、分子量が大きい分子ほどファンデルワールス力が大きいと言えます。ちなみに、分子量とは分子の相対的な質量を表したものです。

構造が似た分子では、分子量が大きいほどファンデルワールス力が大きくなります。ファンデルワールス力が大きくなると、分子と分子を引き離すためにより多くのエネルギーが必要になります。温度を高くしないと、液体から気体に変わりません。よって沸点が高くなります

例えば、貴ガス分子を比べると、分子量が増加するにつれて沸点は高くなります。これはハロゲン分子でも同じです。フッ素F2、塩素Cl2、臭素Br2、ヨウ素I2の順に、分子量は高くなり、沸点も高くなります。

また、分子量の値が近いフッ素F2と塩化水素HClを比べると、塩化水素の方が沸点が高いです。これは、塩化水素が極性分子であるからです。無極性分子に比べて、極性分子の方が電荷の偏りが大きく、分子間力が強くなるためです。

メタンCH4とアンモニアNH3、酸素O2と硫化水素H2Sの関係も同じで、NH3やH2Sは極性分子であるため、沸点が高くなります


〇まとめ

ファンデルワールス力・・・どのような分子の間にも働く弱い引力。

分子量が大きい分子ほどファンデルワールス力が大きい。

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