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書評:有機金属反応剤ハンドブック


読んだ本

玉尾皓平 編著、有機金属反応剤ハンドブック、第1版第3刷、化学同人、2006年、260頁

対象

金属ごとの性質、特徴を知りたい人

評価

難易度:易 ★★★☆☆ 難
文体:易 ★★☆☆☆ 難
内容:悪 ★★★★☆ 良
総合評価:★★★★☆

オンリーワンな存在

内容紹介

 有機合成化学によく使われている主要な元素40余について、元素の基本的性質、有機化学的特徴、代表的な化合物の合成法及び安定性・反応性、有機合成への応用の基本的考え方及び応用例を、簡潔にハンドブック形式で纏める。(引用:有機金属反応剤ハンドブック―3Liから83Biまで | Chem-Station (ケムステ)

感想

 学部の有機化学では精々C, H, N, O, P, S, ハロゲン程度の元素しか取り扱わない。しかしいざ有機金属化学を勉強してみると、鈴木-宮浦カップリングで有名なPdや、化学科の学生ですら名前が出てこないようなNb, Ta, Sm, Ybなど、周期表すべての元素が対象となる。これでは有機金属化学が学生に嫌われるのも無理はない。そこで当書は、各金属元素ごとに分類して、簡単な解説がなされている。あくまで”簡単”なものなので、これを読んだだけで各元素の特性を理解するには程遠いが、はじめの一歩としては最適な本である。また、このような切り口の本は中々存在せず、是非とも入手しておきたい本である。
 この本の目玉は当然金属の各論ではあるのだが、総論も数頁ながら非常に素晴らしい内容となっている。典型元素や遷移金属の特徴を俯瞰して説明してあるので、とても勉強になる。ちなみに 遷移金属の項は榊茂好先生が書かれているが、触媒化学会 編、『触媒講座4 反応機構決定法・錯体触媒』にも榊茂好先生が総論的に書かれているのでこちらも参考になると思う。

購入

 いつも数十年前の本を読んでいるため、私としてはかなり新しい部類ではあるものの、絶版のようである。また、中古市場に出回っている数も少なく、基本的にはプレミア価格で手に入れるしかない。私も数年前から狙っていたが、プレミア価格で中々手を出せずにいた。しかし去年、1000円程度の中古本がネットで出回っていたので即買いした。

参考サイト

  1. 有機金属反応剤ハンドブック―3Liから83Biまで | Chem-Station (ケムステ)

  2. 有機金属反応剤ハンドブック / 玉尾 皓平【編著】 - 紀伊國屋書店ウェブストア|オンライン書店|本、雑誌の通販、電子書籍ストア (kinokuniya.co.jp)

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