なんでこんなに目が渇くのかと椎名林檎も言っていたじゃないか 2023/09/29

秋江君彼女のところいると思ったら帰ったらたくさんの画集に囲まれて寝ていた。
私は息が止まるかと思って、ああごめんと思った。
彼はいつも期待を上向きに超えてくる。良い方に裏切ってくる。
あんな姿をみたら、私は頑張ろうと思う。もっともっと。

家を出るのが遅くなったところに掃除終わりの秋江くんが帰ってきた。シャツをほめてくれた。ボタンが隠れてるんだかわいいって。嬉しかった。

秋江くんの絵をトレースして、昼に完成した絵が届く。それはとても良い絵だった。

友達とご飯。行きたい店が並んでいて、私は遅刻。遅刻の間に友達はワイン屋でいっぱいひっかけたようで。先に並んでいる間に秋江くんへのラインを永遠返信する。
秋江くんは昨日はまったくラインをくれず今日はたくさん。それでしばらくたって、流石にこんな遅くなったらまずい、と友達にラインをしたら、もう並んでるよとのこと。振り向いたら、真後ろに友達がいた。
まさか互いに気が付かず前後に並んでいるなんて、お互いに間抜けすぎて笑ってしまった。
しかし、並んでから20分も秋江くんに返信したくて友達へ連絡しない私は優先順位が破綻している。

家族より仕事より、当然友達よりも。
彼の最優先はもちろん私でなくていい。
言葉にして気づいたけど、私の持つ人生への不満は、自分に向けたものでしかない。
そして秋江くんが絵を描くかぎり、私は秋江くんが何をしても愛している。とても大事。
単純な話だ。彼からの愛情のベクトルはなくていい。

秋江くんから誕生日占いの書籍の写真が送られてきて、言われてみればあまりにも秋江くんの性格を的確に言いあてている内容で、そしてその書籍は、うちの実家にもあるのだった。
父がその手の本が好きで、うちにあるのと全く同じだった。
恋人として相性がいい誕生日のところに、彼女の誕生日があり、私のはどこにもない、と見ているとどうやら秋江くんがこれは彼女から送られてきた写真だ、というので全てをなっとくした。
他人の占いを勝手に送ってくるのは占いレイプや、とのこと。絶対あかん、と。
秋江くんはうまいことを言う。
実際、友達が私に私の占い結果を共有してくるときに「勝手に調べちゃってごめんね」と言ってきたことがあるのも、なんとなく覗き見みたいにかんじて、それへの申し訳なさがあるからだろうなと腑におちた。

友達のこと好きだ。自分の不倫のことを私ってクズだよねとずっと語る女もいれば、浮気に自ら終止符をうって、毎日恋しくて泣いてるけどそれをぐちぐち人には言わない子もいる。
でっかいパイとたくさんのクリームの乗った飲み物の喫茶店で、思い出話をしながら彼女は少し泣いた。
全然性格の違う私たちなのに、私は本当に彼女のことが好きだ。
友達と何を話したらいい?恋愛の話しか通用しないの?そんな悩みなんか忘れていた。

喫茶店の隣の机に座ったかわいい女の子のスマホケースに、なかやまきんに君のキラキラシールが入っていた。

友達と帰りの電車で、きんに君やマツケンサンバの復権について話す。今度彼女にマツケンサンバを歌ってもらうことにする。
彼女は大好きな音楽の勉強をきちんと学校でするために、お金を貯めようと考えている。
かっこいいよ。

私が外見のコンプレックスを言ったら、彼女が私だって歯がおおきいし!と言ったので笑った。
石原さとみの耳たぶが薄いんですよね、に通じる。

地面の穴にはまり足をくじく。痛いと言うより熱い。

2023/09/29
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