ゲームから学ぶ①:現代社会の異常さ

ゲームは単なる遊びでしかないと思う人もいる。
しかし筆者はゲームから学ぶことも多いように思う。
小難しい専門書を読むよりも、政治的・社会的なことをゲームが教えてくれることもあることがある。

筆者は幼少の頃よりゲームが好きで、ドラゴンクエストやファイナルファンタジーといったゲームでよく遊んだ。
これらのゲームの大まかなパターンは似ていて、「世界征服をたくらむ大魔王が現れて世界が闇に包まれる。その大魔王の野望に立ち向かう勇者を主人公として、プレイヤーは世界を救う旅に出る。」というものだ。

これを聞いてどう思うだろうか。
よくある作り話だなとか、子供向けのアニメやゲーム、漫画の世界と思われる方も少なくないだろう。
だが、正にゲームの世界と同じようなことが現実の世界でも起きているものなのだ。

筆者が大好きなゲームにドラゴンクエスト11がある。
これまでの多くのドラゴンクエストは、世界を征服しようとする大魔王というのが存在していて、それに立ち向かう勇者が現れ、その勇者になって大魔王を倒すという物語構成になっている。

しかし、ドラゴンクエスト11では、世界を救う存在である勇者が生まれ、世界で最も権力をもつ国の国王が「勇者は世界の平和に災いをもたらす悪魔の子だから、殺してしまえ!」と宣言する。
生後間もない勇者は行方不明になり、死んだかに思えたその十数年後、青年に成長した勇者が生きていたことを知った国王は再び勇者の暗殺を命じる。
「勇者は世界の平和に災いをもたらす悪魔の子である」というプロパガンダを信じて疑わない者たちは、世界の平和の為に勇者を暗殺しようとする。
勇者が追い詰められ、勇者の命が断たれるかと思われた瞬間、プロパガンダを流し、勇者の暗殺を命令していた国王は実は大魔王だった・・・というところから物語は新たな展開を迎えるのだ。

いかがだろうか。
このあらすじを聞いて、何かにそっくりだと思わないか?
そうだ、共産主義者による世界征服のための行動とそっくりだ。
偽情報を「真実」としてプロパガンダを流し、世の中の大半の者がそれを真実だと騙されてしまっているという話とそっくりだ。

ドラゴンクエスト11は小学生をはじめとした多くの子供たちもプレイしたことだろう。
その子たちがどのような印象をもってこのゲームをプレイしたかどうかはわからない。
しかし、何年か経てば、子供の頃にやったゲームが、如何に現代社会を風刺していたかに気づくのではないだろうか。

このゲームをする子供たちは、「まさか勇者が『悪魔の子』なはずがない」と思いながら、その身の潔白の為に必死に冒険をする。
そして、物語の中盤で、国王が実は大魔王であったことにとても驚くのだ。
その姿は正に、「正論を主張し、身の潔白の為に戦う」未来の自分に勇者の姿を重ねるのかもしれない。
「良い人」だと思っていた人が、実は「不正や賄賂にまみれた大魔王のような極悪人」だと気づく自分に勇者の姿を重ねるのかもしれない。

ゲームをすることで、現代社会の異常な不条理を子供たちは学んでいるのかもしれないと、ドラゴンクエスト11をプレイしながら思った次第である。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?