露プーチン大統領が2022年9月30日の演説を分析してみる

2022年9月30日にロシアのプーチン大統領がウクライナ4州を併合するとの発表に伴い、ロシアで演説を行った。
ロシアが置かれている立場を分析する上でも非常に重要な材料となるため、演説の内容を分析しながら解説をしたいと思う。

演説内容の全文については上記をサイトをご参照いただきたいが、非常に長文であり、ロシアの歴史的、民族的背景を知らなければ、読むのがとても大変だ。
今回は筆者が簡単に要約したものを太字で示すとともに、その内容について分析をしたいと思う。
プーチンの演説の全体像をまずはざっと知りたい方は下記の文章の太字のみをお読みいただければと思う。
プーチンの主張は大手メディアによって切り取りがよく行われ、偏向報道に利用されるが、プーチン自身の演説全体を見ればロシアの主張が良く理解できる。
ただし、筆者は一方的にロシアが正しいとか、ロシアが間違っていると主張するものではないことはご留意いただきたい。

**以下、プーチン大統領の演説(太字)およびその解説(細字)**


①ウクライナのドネツク、ルガンスク、ザポロージエ、ケルソンの4州におけるウクライナでの住民投票の結果に基づき、ロシア連邦への併合を支持する。

ウクライナのこの4州はウクライナの南東の地域であり、これらの州は大多数がロシア人で、ロシア語を話している。
これら4州が住民投票を行い、ウクライナではなくロシアへの併合を望むという選挙結果が出た。
この4州の住民の決定をロシアとして支持するということだ。

②民族自決権は、国連憲章第1条で保障された権利である。

これは正にプーチンの言うとおりである。
この住民投票が正式に民主主義の手続に則った者であるなら、民族の自決権として認められるべきだろう。
ただし、ロシアや旧ソ連は過去に住民投票という形を取った内政干渉や国家の分裂工作をしたことがあり、そのようなことが今回行われたかどうかは定かではない。

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