日本企業の技術ノウハウの危機:製造拠点の海外移転が企業を空洞化した

産業の空洞化という言葉を聞いた事があるだろうか?
自動車業界のような製造業企業が、自動車の製造拠点を日本国内から海外に移転させる事で、日本の製造拠点がなくなる事をもって、空洞化と表現している。

日本に限らず、企業が活動すると多くの雇用を生む。
ある企業がある街に工場を構え、多くの地域の人を工場の作業員として雇用すれば、そこで大きな雇用が生まれて大きな経済活動を生む。
ある街の経済の大部分の経済活動を単一の企業による企業活動によって生み出されることもあり、その場合には企業城下町という言い方をする。
日本が大きく経済発展した一つの理由は、大企業が企業城下町を作り、そこで多くの雇用が生まれ、加えて大企業がいろんな中小企業に部品などを発注することで需要を生み出すことにある。
日本では多くの中小企業が競って品質の良い部品を製造したため、技術力の高い部品の製造企業が誕生した。
これが実は素晴らしく高い技術力を生む企業群の生態系であり、日本の技術力を潰したいような工作員経済学者(小泉政権の顧問の竹中平蔵や、菅政権の顧問のデービッド・アトキンソンなど)は「日本の経済成長力が低いのは中小企業が多いからだ」という大嘘をついた。


製造業の強みは実際に自分たちで手を動かして物を作ることに強みがある。
物を作るという過程には必ず試行錯誤の過程がある。
実際の需要を元に物を製造していたとしても、その過程で副産物的に技術が生み出されていくものである。
つまり、日本企業が日本企業に注文を発注するだけで自然と日本企業の技術力が向上するのである。
しかし、単に「海外の製造業者に発注した方が安いから」などという理由で海外の製造業者に発注してしまえば、日本企業の需要が落ち込むだけでなく、日本企業に技術が蓄積されていく機会まで奪われていく。
大企業が目先の利益だけを追い求めて工場を海外に移転したり、海外の製造業者に発注をするだけで、確実に日本経済は弱くなり、日本企業の技術力は衰えていくものなのだ。

製造拠点を日本に置くというだけで、底知れない技術力の向上が国内に生まれ、経済成長力が爆発的に伸びることは常識中の常識だ。
国内に製造拠点があれば、それだけで製造に携わる人が増え、製造に携わる人々は製品に関する専門的な会話を反復継続的に行うことで製造に関わる言葉に関して詳細を理解する人が自然と増える。

今や日本にでは製造拠点が極端に減ったことによって、製造に関わる言葉に疎い人が極端に増え、製造に関する技術ノウハウが蓄積されない危機的状況となっているのである。


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