[前世紀の残務整理] 一方で測定すると他方も収縮?

量子力学は、その中の分野である量子測定論、量子情報論の
確立、発展で前世紀から大きく変わりました。
特に、量子もつれ対の「状態の収縮」では、
「相手が測定して『相手から見た状態』が収縮すれば、
同時に(瞬時に)、自分から見た状態(部分系のことではない)も
収縮する=干渉項が0になる」
と、最近まで言われていて、そう思っている方も多いと思います。
しかし、これは「測定結果を持ち寄った過去の中でのデータ」においては
自分の状態が収縮する時点は、相手が測定した時点=同時刻まで遡れる
ということであり、
相手の状態が収縮しても「自分から見た状態はまだユニタリ発展」します。
その時点ではまだ「自分の方から見た状態の干渉項は0でない」です
https://mhotta.hatenablog.com/entry/2014/04/05/094917
これは、一般確率論の「無信号条件」から言えます。
https://note.com/eman/n/n8ffa8b277327
測定したという因果関係は「自然界の最大速度=光速」
を超えて伝わりません。

測定の局所性(でないとおかしい)

学部で習う普通の量子力学での測定は、
自分の測定器に入った情報だけを測るので局所的です。
古典論と違うのは、測定器に入る情報が「相反する状態」との
和(重ね合わせ )になるところです。
量子もつれ対の場合、測定器に入る情報が「自分の方に来る状態」と
相反する「もう一方へ行った方の状態」との和なり、
この2つ状態の干渉でベルの不等式が破れます。
この「相反する状態」との和で相関関係が生じるだけで、
「相手が測定したから」という因果関係はありません。

もし「相手が測定した」という因果関係が光速を超えて伝わるなら
例えば、「月や火星の測定者」が何か測定したら、
自分が測定を繰り返している時、
その瞬間に「目の前の測定器の表示が急に変わる」ということで
私は、非常におかしいと思います。

「無信号条件」「情報因果律」

上記が起きないことを、一般確率論で「無信号条件」
といいます。
「系Aと系Bが、空間的に離れている時、A(B)の任意の物理量の
測定確率が、B(A)の測定に影響を受けない」
=測定の操作や結果は「自然界の最大速度=光速」を越えては
全く伝わらない ということです。
一般確率論には、この他に「情報因果律」という条件があります。
これらについては、シータさん(@Perfect_Insider)が
よい説明をしています。
https://twitter.com/Perfect_Insider/status/1020836907092201475

以前の解釈に沿った理論は間違い

以前の解釈:
「相手が測定して「全体の状態」が収縮すれば、
同時に(瞬時に)、自分の側(部分系)の状態も収縮する」
は、誤りなので、
この解釈をとる(とるとしたら)
ボーム理論多世界解釈 は、間違い
ということになります。

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