「カフネ」著・阿部暁子

「カフネ」著者・阿部暁子 出版社・講談社 出版年・2024年5月   人はどれほど分かり合えないものか、分かっていると思っていたことが、全部覆る。それは怖いことでもあり、人の奥深さ、はてしなく広がる人の凄みも感じた。この子はこういう子、というレッテルは、どんなに善であって、悪であっても、張ってはいけないことなのだと実感した。わかりあえなくても繋がることはできると最近の潮流だが、わかりあえないことを知るのは、しんどいことでもある。なかなかつながっていることを確信しにくい。自分勝手な思いこみである覚悟も必要で。それでも人は人と繋がりたい。繋がりたいという思いより、繋がっていると信じることのほうがいいような気もする。普通に生きてきたはずが、どこでどうなったのか、誰の悪意でもないことが原因だと、自分も相手の傷つかずには胸のうちにしまえない。あんなに小さいころから一緒で可愛がった弟が味覚障害があり、ジェンダレスだったことを知ったのは弟が亡くなってからであり、元夫の本心を知ったのも、離婚してから。想定もしていなかった事だが、ありえないことではない。そんな!!と思う反面、人間って凄い!!、そんなに簡単にできてないやなと畏怖と人としての誇りも思った。そして、どんなに複雑でも人間は誰もが優しい部分を絶対持っていることも思った。                 しかし、この本に出てくる料理のおいしそうなこと!小説に出てくる料理がどんなに美味しいかという特集とか、出てくる料理が好きで、この小説が好きとかいうことが、賛同できないことが多かったのだが、めちゃ美味しそうなのだ、ここに出てくる料理!作ってみよう。             分かり合えないことを絶望するのではなく、分かり合える部分を大事にしよう。それにしても、ラストの2行、私はいらない。甘すぎ。だが、それは年齢的なことなのか?時代的なことなのか? ちゃんと決定的なことを書いてくれよと思った時のあったのにね。人は難しい~

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