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成瀬は天下を取りに行く


なんといっても、この表紙がいい。
少女の口元が見えない分、目元が強調されて意志が強い人なんだろうと思う。この少女が主人公なのだろうか、ライオンズのユニフォームを着ているということは、成瀬という人物が野球選手になる物語なのだろうか…黄色と青の鮮やかさが(初)夏の話なのだろうと思わせてくる。

成瀬は、まっすぐだ。不器用ではないのに危うくて、もろい。
そのもろさを支えるのが大の大人ではなくて良かった。
コロナ下の学生にぎりぎり含まれたくらいの世代だったけれど、本当にフラストレーションしかたまらん。よーやっとるよ、みんな。将来「この子(この世代)はこんな事も知らんのか」という大人が出てきたら声を大にしていいたい。「よーやっとるよ、これからこれから」

そんな中の成瀬がしたことは、「やろうと思えばできること」なのだろう。
抜群に色んなことができる成瀬だけれど、彼女がしたことは「メンタル」「肯定してくれる存在」がいればできることだ。
当時の私にはできない。と思う。自意識過剰の鎧を身に着けていたあの頃は。

ぶっとんだ人間でも、良いと思う人はいるもんだ。作者からの、「好きなようにやれよ」というメッセージのように思う。

サイダーみたいなシュワシュワ系かと思えば、実はウコンドリンクを炭酸ジュースにしてみました
みたいな、軽くてぼーっとしてたら横殴りされるような本でした。

滋賀県のことも、ついつい調べちゃったりして。思うつぼだな、私は。

(この物語は野球の話ではありません。)
西部ライオンズにいた頃の牧田さんがかっこいいと思っていた中2を思い出した。


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