寝る前に

歯を磨いて口をゆすぎ、顔をあげて鏡の中の自分の顔をまじまじと見てみたら、食生活の乱れからかおでこにはニキビ、ほったらかしで伸びきった前髪、それに刺激されてかゆくなって違和感のあるまぶた、苦労してる顔だなぁと思った。

「自分を愛そう」というありふれているけれどいつまでも自分には馴染まなかった言葉、この瞬間には少しだけ理解できた気がした。わたしにはとても難しいことだけれど、少しずつ、少しずつ、自分を大切にしたいと思った。わたしの好きなドラマでは、登場人物たちが鏡の中の自分たちに向かって「おやすみ」と言っていた。中学生だか高校生の頃、不安な日々の中でそれを真似て毎日のルーティンのようにわたしも言っていたのを思い出した。

鏡の中の眠そうでくたびれた自分の目を見つめて、自分自身をなだめるように言う。

「おやすみ。」

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