故郷を想って

私の故郷は青森市。母から、”世界でいちばん雪が降る30万人都市”だと教えられた記憶がある。

昨年は雪が少なかったようだが、今年は一転、早くから雪が降り、その量もものすごいそうだ。ただ、大雪には慣れっこの人々だ。「今年は降るなぁ〜」と、話の種になるだけだろう。強い人々だといつも思う。

祖母からの仕送りが届いたためお礼の電話をした。定型文のように、私も祖母も雪の話をした。やはり私の遺伝子はそこに根付いているのか、一面の雪景色をみたくなってTwitterで調べた。この時期にしては雪が多いなぁとは思ったが、私にとっては見慣れた景色ばかりだった。夏と年末年始の帰省の予定が消えた私はついついその景色に没入していた。

そういえば、お腹が空いたと思った。ご飯を買いに行かなきゃなぁ。外はすごい雪なんだろうなぁ、雪の中こいで行かなきゃなぁ、あったかくしていかないと。

完全に頭の中は私の故郷に帰っていた。けれど我に帰ってみれば、ここは関東、やっと冬本番かどうかという中途半端な寒さで、道はいつもと変わらず黒いままなのだ。

真っ白な世界が恋しかった。そんなにホームシックになるタイプではないが、そこにいる家族と電話したり、「会いたいなぁ」と言われたりすると、流石に私も家族に会いたくなった。私が一人で暮らせるようになるまでたくさんの愛を注いでくれた人たちがいるのだ。皮肉なことにそれは歳を重ねるごとに強く実感していく。やっとそれがわかってきたのに、感謝も愛も、返せない。帰りたいなぁ。

お腹が空きすぎてこんなに寂しいのか。ご飯を買いに行かないと。外は真っ暗な世界。

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