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全ての終わりは新たな始まり

僕の10代後半はとても暗いものだった。学校をドロップアウトして、何をするでもない生活が続いた。そんな暗闇の時期に僕を支えてくれた言葉、正確には音楽があった。THE BACK HORNの音楽だ。何かを表現したい、でもどう表現すればいいのか分からない、リビドーだけが高まっていった。いつか「世界に牙を突き立てるような狼」になってやる、その衝動のままに生きてきた。そう「綺麗に咲けない僕らは、ああ、行き場をなくしたまま」「青さはあまりに無力でただ儚く燃えている熱」であった。どこにも居場所なんてなかった、「異国の空、僕は一人」であった。「何を信じれば朝はくるだろう」そう思う夜が続いた。「イキルサイノウ」なんて持ち合わせていなかった。「野良犬のような俺たちの日々は死にたくなるほど自由」であった。

あれから13年の月日が経った。もうその時の異様ともいえるエネルギーは残っていない。僕は世界に牙を突き立て、そして敗北したのだ。そう僕たちは敗北を宿命づけられている、でも次の世代の為に闘うべきなんだ。それが僕たちの「負うべき傷」なのだ。残念ながら僕は社会の分厚い壁を突破できなかった。だがいずれ僕の意志を継ぐものが現れ社会の分厚い壁を突破するだろう。そしてその壁はいずれ崩壊する、人々の意志によって。その先で「鮮やかな未来」を描くのは、他ならぬ若い人々なのだから。だからかつての僕と同じく悩める若者よ「顔をあげて世界を撃て」。

自分自身を表現する手段を持つこと。音楽でも、文章でも、絵画でも、写真でも、映像でも、それが君の銃であり実弾だ。君が実弾を銃口に込めて世界を撃つことを、誰も止められない。発射された銃弾は世界を貫き、赤い血が流れる。世界は君のことをじっと見つめる。そこには、恐怖とあきらめの表情が浮かんでいる。「お前が俺の死か」。君は静かに世界に止めを刺す。そうして世界は終わる。全ての終わりは新たなる始まり。

そうして生まれた新たな世界を君は眩し気に見つめるだろう。どこからか新世界交響楽が聴こえてくる。君はそこでやっと微笑むことができる、柔らかな光に包まれて。


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