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【読書感想】石戸諭著『ニュースの未来』

グーテンターク!皆さまこんにちは。フランクフルトのYokoです。石戸諭さんのこの本を読み終えました。

オールドメディアに嫌気がさしている方、マスゴミというワードを使ったことのある方、ニュースに携わりたい方、そしてニュースに振り回されたくない方に読んでいただきたいなぁと思いました。

石戸諭さんはプロの書き手としてニュースや取材対象へのに距離感がいい方で、知りたい熱き好奇心と伝え手としての冷静さが文章に現れていると思っています。その石戸諭さんの手法や文体がどこから生まれたのか、本書を読んで納得しました。

石戸諭さんの「よいニュース」にはきちんと定義があるし、その実現に向かい悩み進んだキャリアパスも今の石戸さんの鋭い論考につながっていることがわかります。ジャーナリズムの歴史と構造を踏まえて問題点を指摘しながら、そこで終わらずに、良いニュースはクリエイティブであるべきとしています。彼の文章が単なる批判や自身の主張の押し付けがましさにならないのはそのためなんだなと私なりに消化しました。

本書の中で一つキーワードをあげるなら、「答えの出ない事態に耐える力」でしょうか。

ニュースの発信者側にネガティヴ・ケイパビリティ、答えの出ない事態に耐える力の重要性に触れていたのが印象に残りました。

現場に足を運び、立場の異なる人間と対話したり、方法を考えることで研ぎ澄まされる「複雑さ」への感覚を大切にしながら、答えのない時間を耐える、その後に出すニュースを早く伝えるニュースと使い分けることが大事と石戸さんは説きます。これはニュースの世界以外の仕事でも含蓄あるメッセージだなと思いました。

複雑さへの感覚、答えのない事態に耐える力は、才でなく鍛錬でなんとかなるものと励ましてくれる石戸さんの言葉に救われます。

石戸さんのこれまでの著作になぜ惹かれたのか、よくわかりました。きちんと後ろのバックボーンがあるし、知りたいと伝え方を追求してきたからなんだと納得です。

これからも著作や発言を追いかけたいと思います。

合わせて石戸諭さんの著作、『ルポ 百田尚樹現象 ~愛国ポピュリズムの現在地~』もお勧めです!

右の方も左の方も、中道の方も、思想に興味のない方にもお勧めです。なぜならこれは我々が生きる現代社会の課題であり、そこから誰も逃れられないからです。それに石戸さんは誰の肩を持っているわけでもなくポピュリズムの構造に光をあてながら、そこに登場する有名無名の人々にしっかりとリスペクトとエンパシーを忘れず、でも入れ込みすぎず取材されています。

それでは、最後まで読んでいただきありがとうございました!

Bis dann! Tschüss! ビスダン、チュース!(ではまた〜)😊


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