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日々読み #7

12/12 晴れ

今日も妻は仕事だった。だから今日は妻の食事を作ったり、洗い物をしたりとずっとおうちで過ごした。
朝は朝ご飯を用意して、散歩に出掛けて。コーヒーを2人分淹れた。今日も特に予定がないから借りてきた本を読むか、文章を書くか、写真を撮ろうか。どれもあまり気分ではなかったからひさしぶりに映画を見た。選んだのは「君の名前で僕を呼んで」。とても好きな映画だった。それと同時にこんなにもいい映画があることを知らずに過ごしていたことが少し悔やまれた。
時間がなくても隙間で見れるYouTubeや、アニメの良さももちろんある。それでも映画にしか含まれない良さもあって、そのことをこの映画は思い出させてくれた。


12/13 晴れ

アルツハイマー型認知症の方は、本人は普通に暮らしているつもりでも、さっきまで自分が何をしようとしていたかを忘れてしまうことが多い。自分の記憶が細切れになった日常を送っている。料理をしようと鍋を火にかけていても、別のことが気になって、いつしか火にかけた鍋の存在を忘れる。高齢になると鼻や耳の感覚器官は日に日に衰えていき、拾える情報も少なくなっていくからたとえ鍋がふきごぼれだとして気づかないことがある。自分では衰えた感覚がないのにもかかわらず、知らず知らずのうちに衰えていき、時間がが細切れになっていく。
僕らが考えただけでもそんな状況は怖い。僕らは記憶があるから仕事に行ったり、遊びに出かけたりできるし、生活が営める。
火事になったらどうしよう、人の迷惑になったらどうしようと。
先日、行方不明になりかけた認知症の方がいたのだが、その方に忘れてしまうことで生活が怖くなることはないか聞いてみた。すると「忘れること?全然、怖くないよ。」となんてこともない質問に答えるような調子で答えてくれた。素直に怖くないと思えているのがすごいと本人に伝えると「大事なものは忘れないから。大丈夫よ。」とにっこり笑った。
記憶を手放しても自分らしく暮らしているその方が、しなやかに自分の状況を飲み込んで自分の人生を乗りこなしているように感じられて、高齢者の持つ生きる力強さを感じた。


12/14 晴れ

自分の働き方を考える時に他者の働き方は見えてくるし、やっぱり気になる。今までは他と比べることができなかったから、あまり気にならなかった。最近新たなメンバーが加わって自分と訪問件数も負担も同じなのに、あの人の方が経験年数が上だからという理由で報酬に差が生まれるようだ。しかもオンコールの回数は負担感が強いということで僕よりも少ない。負担の少ない働き方で僕よりも多く報酬をもらえるなんて、なんだか都合が良すぎやしないか?と思ってしまう自分がいる。
お金の話ばかりするのがナンセンスだなんてことはわかっているけれど、目に見えて差がわかる分もやもやするのだ。どうしたものか。


12/15 晴れ

昨日は1人で、もやもやしてしまったから妻にも話してみた。そのおかげもあって考えが少しずつまとまってきた。報酬と働き方に対してはいろいろ気になることはあるけれど、結局最後は他の人は関係なくて、自分がどういう働き方ならば本当に「気持ちがいい」状態で働けるかという点を大切に考える必要があるかもしれない。
私の中の気持ちのいい働き方は管理者にオンコールを押し付けて休みやプライベートを確保することでも、働き以上の見返りを求める働き方でもない。ステーションが良くなるために何が必要なのかを自分で考えて、ひとりの看護師として、メンバーとして、そしてひとりの男性としてかっこいい働き方だ。
かっこよく働くにはどうするべきか。
ここで言うかっこいいは見た目の話ではない。恥ずかしくない働き方ができると言う意味でかっこいいのだ。その方が不満を漏らして働くよりも自分の糧になるはずだから。


12/16 晴れ

文章を書くのも好きだし、カメラで写真を撮ることも好きでゆくゆくは自分の好きなこととして育てていきたいと思っている。
それでもこれから看護師としての自分がどう成長していくべきか、今日はそこを考えたくなった。今のままの知識と技術だけじゃ自分も物足りないし、本当に困った人を助けられない時に後悔が生まれるかも。そんな時があったら自分が自分で嫌になりそうだ。
だからこそもっと認定や専門看護師のキャリアを積んで、学んでみたい。もともと学ぶことは楽しいと思えるし、挑戦してみたい気持ちもある。ただ金銭的な負担は自分的には大きくて今からすぐにと言うわけにはいかない。それでも今日は日記を書くことで自分の中でキャリアアップしていきたい気持ちが生まれていることに気付けた。自分で抱えるだけではなくて、上司や会社と相談してみようか。


12/17 くもりのち雨

今日は休日。久しぶりに妻も仕事がひと段落しているから2人でおやすみ。外にくりだしても、よかったのだけれど今日はお互いにゆったりしたい気分だったからお家で過ごした。
朝はもらったりんごとヨーグルトにバナナ。食後にいつものコーヒー。特にすることもないので妻希望の「宝石の国」というアニメを見た。世界観が美しくて、作者の好きがたくさん詰まった素敵な作品だった。そして「宝石の国」にはどこか妻の描く絵にも通じる「静かさ」と「純粋さ」があった。
温かい飲み物とゆっくり流れる休日の時間は、ありふれた何気ないものに思えるけれど、何かが崩れたらすぐにするりとこぼれ落ちてしまうのかもとおもった。こういう何も苦痛のないゆったりできる時間はかけがえのない時間なのよね。できるだけていねいに積み重ねていきたいなあ。


12/18 雨のち晴れ

今日はご近所さんとのクリスマス会に持ち寄るプレゼントを選びに行った。あらかじめ幹事がプレゼントを誰に渡すかを決めてあるシークレットサンタ方式のプレゼント交換会なので、僕は中学生の女の子にプレゼントを渡す担当だ。ご近所さんとはいえども今時の10代に渡すプレゼントとなるとなかなかに難しい。本人は何が好きなのだろう。かわいいのがいいのだろうか、それとも機能的な方がいいのだろうか。しかも決まりの中には上限1000円以内で用意するという条件もあり、条件を全て満たすものを探すのだけでも精一杯だった。それでも10代の女の子に少しでも喜んでもらえるようなプレゼントというのは自分の中でブレたくなかった。わかりやすいお菓子に逃げて手は抜きたくなかった。妻と共に女の子が行きそうなコスメショップをウロウロして、これがいいかな、あれがいいかなと悩みに悩んだ。諦めかけた時についに見つけた。30g程度のアルミの小さな容器に入った硬めのハンドクリーム。香りも良い、量もちょうど良い。そしてぴったり1000円。見た目も可愛く、ラッピングしてもらうと、よりプレゼント感が出て可愛くなりそうだ。見つけた時の嬉しさは普段の買い物では味わうことのないもので、少しゲームをクリアした感覚
と近かった。
どんなプレゼントであれ、本気で選ぶとプレゼントは楽しいことを知った。ハンドクリーム使ってくれると嬉しいな。

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