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アパレル時代に苦手だった言葉が今をつくる

「勝ちパターンを見つけるんだよ」

アパレルをしていたころ、1番苦手だった言葉。
この言葉に何度も悩み、何度も泣かされた。

わたしのアパレル経歴は19歳のころ。専門学校に通いながら、アルバイトでギャルショップの店員となり働き始めたのが始まり。

そのまま社員となり、店長となり、場所を変えてハイブランドや一点物を取り扱うセレクトショップでも勤めた。

「こいつなんかミステリアスやな...」という、雰囲気を醸しだながら、たまに見せる人懐っこさが売りだったわたしは(すごく盛ってる)、常連客様が多かった。

ただその反面、新規のお客様を掴むのがとても苦手だった。

とくにその苦手な面がありありと出たのが、
ハイブランドや一点物を取り扱うセレクトショップで働いているとき。

人生経験も豊富で、見る目があるお客様ばかりのセレクトショップでは、わたしのヘラヘラした薄っぺらい愛嬌など、通用しなかった。

売れない。お客様も掴めない。

名古屋市矢場町。賑わうメインストリートを一本なかに入った場所にあったため、頻繁にお客様がくるわけでもない。

毎日怒られて、毎日反省会をした。

上司は売れる。新しいお客様を掴むこともできる。

「わたしには何が足りないんでしょうか」

と聞いていた。今思えば、足りないことなんて山ほどあった。ただ当時のわたしはとにかく売れる技術が欲しかった。すぐに。 

毎日わたしが「なんで売れないんだよ。どうすればいいんだよ!」と納得いかない顔をしていたのに気づいていた上司は、こう言った。

「勝ちパターンを見つけるんだよ」

営業力は勝ちパターン?

旦那とは当時から付き合っており、旦那も元アパレル販売員。

旦那はとある大手のアパレルブランド企業に勤めていた。販売部のなかで、1番売上実績のある販売員だった。

イベントごとはもちろん、月の売上の2/3は旦那の実績なほど。

売れないことに悩んでいたわたしは、旦那にもアドバイスを求めたことがある。すると旦那からは、

「勝ちパターンはある?」

またこれだ。売れる人には勝ちパターンがあるらしい。
ますます分からない。何、勝ちパターンて。そんなのがあれば、悩んでいないんですけど。

アパレル経歴の後半はこの言葉が苦手になり、「わたしは売れない」コンプレックスを抱いたまま、現場からは離れた。

WEBライターへ

アパレルの現場から離れて、ライターの道を選んだわたし。
思うように稼げない日々が続き、どう頑張ればいいのかわからなくなっていた。

あれをしてもダメ。これをしてもダメ。
「あなたはプロでしょ?」
と言われても、プロとは何か、私はプロなのか。それすらもわからない。

そんな風に「わからない、わからない」を連呼していながらも、今自分にできることを探した。

著名な作家のノウハウ本を読んでは、いまの私を救ってくれる言葉を探した。

そのなかで気がついた。

みな、好きな作家がいて、その人を真似ていること。真似る手段を知っていること。

私には、「好きな作家」が言えなかった。どんな文章が好きでどの作家の文を読んでいて心が打たれるのか。それが言えなかったし分からなかった。

じゃあまずは好きな文章、好きな作家を見つけよう。

そう思い、溢れている文章を読み漁り、好きなものをブックマーク。全て模写していった。

模写には時間がかかる。お金にもならない。それでもとにかく空き時間には片っ端から模写をした。

苦手な言葉が理解できた瞬間

模写を数枚、数十枚、数百枚していくうちに、好きな文章の流れ、引き出し、表現力のレパートリーが自分のなかに溜まっていくのを感じた。

「この記事読みにくいな。この言い回しをこう変えたら読みやすいのに」そんなことまで思うようまで。

変化はそれだけじゃない。仕事にも現れた。

箇条書きの文章を一つにまとめるスピードがあがり、誤字脱字が格段に減ったのだ。そして、一気に書き上げたときでも、文章戦隊の質が上がった。

表現力が増えたから、上手くまとめる人の書き方を知れた方...その理由は書き出すとたくさんある。

そのとき、私は自分の『勝ちパターン』を見つけたのだ。

「模写なんて時間がかかる」「模写はコスパが悪い」そういう言葉も目にした。でも私は自分にできることをした。人を真似た。

そして得た。

人には向き不向きがある。ただ、私にとって模写は向いていた。

何かのスキルを身につけるとき、向上させたいなら、書いて書いて真似て真似て。それが私の勝ちパターンの一つなのだ。


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