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短編を作ってみよう②二人が対立した理由、その設定を叩いていく(ネタバレ度:★★)

下記の記事の続きです。


<これまでのあらすじ>
「ほろ酔い読書」というお酒をテーマにしたアンソロジーの2冊目の執筆陣に加わらせてもらった朱野。Twitterで対立した者同士が一緒に生牡蠣を食べにいくという設定を思いつく。

それでは続きをやりましょう。

Twitterで対立……いったい何で対立したのさ???

登場人物たちの設定で決まっているのは、今のところ下記の通り。
・ふたりはTwitterの相互フォロワー
・過去に(Twitterで)揉めたことがあり、対立関係にある
・だが牡蠣は牡蠣好きと食べなければならないため会うことに
・リアルでは初対面

ここまでは決まっているので、ここからは、二人はなぜTwitterで揉めたのかについて詰めていく。
Twitterにおける対立関係は多い。なかでも最近とみに多いのは性別という属性に分かれての対立だ。今回もそれでいいのではないかと考えた。

しかしそのような対立をした場合、特に女性側はいかなる理由があろうとも揉めた相手の男性と二人で会おうとはしないのではないだろうか。普通の場合でも男女が初対面で会う場合、互いが負うリスクは女性の方が(凶器でも持っていない限りは)大きい。対立した相手と2人きりで会うとは考えにくい。

ここまで考えてきて「っていうかさー」ともう一人の自分、「私B」が頭のなかで喋り出す。

詰まったら、自分を複数人に分けて、設定を叩いてみる

「私B」は自分のなかにいる読者人格だ。たくさん本を読んでいて、まあまあ口が悪い。小説家の「私A」にツッコミを入れてくる。

私B「そもそもさ、Twitterで対立した人飲むって設定に無理がない?」
私A「そこに戻っちゃう?」
私B「いくらフィクションっていってもさ、私なら行かないよ」
私A「でも二人とも生牡蠣が好きなんだよ? 真牡蠣のシーズンが終わりかけの3月だし」
私B「私なら行かないなー」
私A「あのさ、そうやってさ、いつもダメ出ししてくるけどさ、だったら代案を出してくださいよ!」
私B「じゃあ、言うけど、あなたの考えた通り、Twitterで対立した者同士が生牡蠣食べにいくことにしましょうよ。で、その先はどうするの? 生牡蠣食べながらまた対立するの?」
私A「そうだよ」
私B「でもさ、生牡蠣食べにいくことになった時点でさ、和解ムードになっちゃってない? そこからまた対立に行く? ダラダラした展開になりそうじゃん。書きたいのはさ、本気の対立でしょ。相入れない関係でしょ」
私A「そう」
私B「だったらどうやって二人を対立させ続ける?」
私A「……」
私B「そもそもさ、二人がTwitterで揉めた原因は性別なんでしょ?」
私A「そう」
私B「じゃあ、もしかしたら対等に戦ったわけじゃないかもしれないよね。どっちかがどっちかを数を頼んで炎上させたとか…」
私A「つまり、牡蠣を食べにいく前にすでに勝敗がついていて、勝者の方は油断している可能性もあるってことか」
私B「それだったら、ノコノコと牡蠣を食べにくるのもわかるよね」
私A「だけど、負けた側はまだ納得していない……その二人が酒の席につく……」
私B「何か思いついた?」
私A「……(考えてる)」
私B「負けた方は何のために牡蠣を食べに来るんだろうね?」
私A「……(考えてる)」
私B「ヨックモック食べていい?」
私A「……××するために来るんじゃないかな?」
私B「××?」
私A「……ああああ、でもだめだ! 今回のテーマはほろよい読書なんだから、そっちにいっちゃだめだ!」
私B「…そうだけど、でも朱野作品らしくはある。デビュー作のテーマもそれだしね」
私A「××ってエンタメではベタ中のベタだけど、なんかかんだでテンション上がっちゃうし、相容れない二人の戦いになりそう」
私B「いいんじゃない? 牡蠣ってそもそも危険な食べ物だし、いくつまで食べれるかを競う戦いとからめたらさらに面白くなるのでは」
私A「でもそんな極端にふっちゃっていいのかな?」
私B「迷ったら極端にふれって、担当作家に直木賞とらせた編集者が言ってたじゃない」
私A「よし! ××でいこう! ここから逆算して、Twitterで対立した理由や、二人のキャラクターを作っていこう

私Bの承諾が出たので、先に進もう。
ちょっと待って、「××するために来る」ってどういう意味? 伏せ字になっててわからないよ! と思われたかもしれない。
ただここを明かしてしまうとまあまあ重めのネタバレになってしまう。

ということで、ここから先は次の記事(ネタバレ度:★★★)でやりたいと思います。ネタバレを踏んでも楽しめるタイプですという人は、そのまま次の記事へお進みください。

これ以上のネタバレきついです!という方は先に短編を読んでしまいましょう。

まだまだ先は長いぞ!

ここまででまだ詰めきれていないことをここに書きだしておきます。

・二人のキャラクター
・二人が対立した理由
・物語の構成を決め、プロットを仮組みしてみる
・生牡蠣について勉強する
・舞台となる店を取材する
・プロットの詳細を埋めていく
・いよいよ執筆! 〜どの視点で描くか迷う
・視点を変えるかどうかを迷う
・執筆しながら設定やプロットを微修正していく
・推敲する →寝かせる →推敲して編集者さんに見せる
・編集さんの指摘を入れて完成!

……とまあ、やることがたくさんあるね!

続く。