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くっせーわ!〜アロマビーズの欲深さ〜

洗濯機かけるの大好き!
まぁ、干すのは嫌いじゃない。取り込むのはマッハ。畳むのは嫌いですぐチョモランマ級山をつくる。それってだーれ?私だよ。
でもみんなそうだよね、ほらほら洗ってる洗濯機のふたあげて、洗濯物ぐるぐる回ってるのみるの楽しくなーい?

主婦が安全にトリップするためにも毎日欠かせない、というかできないとツケがヤバいことになる家事といえば洗濯だろう。
梅雨時に、とっくにキャパシティをオーバーした洗濯カゴが並んでいく絶望感と言ったらない。私は一体何時間洗濯機を回し続け、いくつの凶悪な汚れがついたものを手洗いするのか?そんなことを考えてる隙に、どこからともなく洗濯物が増えていたりもする。
そんな奴らにはとっとと見切りをつけ、家事遂行への円滑な計画を立てるのが主婦の醍醐味だ。

そんな洗濯という行為だが、さすがに主婦5年もやってると、マンネリになってきた。洗濯槽の蓋を開け、グルグルみるのは楽しみだけど、うちの洗濯機は蓋ロックがかかるから、全くみることができない。ジーザス。
ならばせめて、ほかの楽しみを持ちたいと思うことが人の性ではなかろうか。

そんなわけで、今流行りの香り系柔軟剤で、手っ取り早く楽しむことにした。
本来であれば主役アタッカーである洗剤は、コスパと洗浄力の関係で、エースのお2人に頑張ってもらうので、選択の余地はなかった。そんなわけで今回は話題にしない。

で、柔軟剤である。香り系柔軟剤というジャンルの製品は、ここ10年で爆発的に増えたと思う。
更に遡る事15年前、学生時代に一人暮らしをしていたころは、ここまでではなかったと記憶する。せいぜいふんわり優しいタオルになるよと言ったコマーシャルが打たれ、タオルゴワゴワ防止剤的立ち位置だった気がするのは私だけだろうか。
そんな15年前の常識に未だ囚われつつも、真っ向から最新型柔軟剤を楽しんでいる。
毎日ドバドバ、ふわん、いい香り!なーんちゃって。

いや、くさい。そんなわけないのである。
メーカー推奨量はアカン。香りが強すぎる。
そもそもキツイ匂いは全くダメな私。香る系柔軟剤は推奨使用量の3分の1に(下手したらそれ以下)しているプロ主婦。しかしそれではタオルはごわつき、洗濯物の絡まりがひどい。
そんなわけで、残りの3分の2はどこでも安価に手に入るピンクの柔軟剤、もしくは馬鹿でかい非濃縮タイプの柔軟剤(二つとも香り最弱)を使用している(ようは混ぜている)

別に混ぜてもいいんだけど、混ぜた溶液が固まるというリスクは常に存在する。
だから水を入れて薄めたりするのだが、柔軟剤入れは容量いっぱいで振動で溢れそうだし、タイマー機能を使って、夜セット朝洗濯という、長時間混合溶液を放置するリスキーな行為はなかなかできずにいた。万が一、朝起きて、ガチガチに固まった柔軟剤入れと、ゴワゴワになったタオルにご対面するのは、精神ダメージが甚大であろう。

そんななか、香りビーズの登場である。
純粋に香り付けの存在である彼ら。
今までと同じ洗剤、柔軟剤をつかえるというではないか。
そして、香りの強さは使用量で調整可能。

これは相当イイのではなかろうか。
私のように、香りは楽しみたいが強い匂いは苦手という人に、大変使いやすい商品である。また洗剤、柔軟剤にこだわりのある方も朗報であろう。

そんなわけで早速、推奨使用量の5分の1以下くらいの量から試すことにした。
60リットルの洗濯槽に、8割5分くらいの洗濯物をいれ、残り湯ホースを風呂にセット。湯温は40度弱。かましたれビーズ。その実力を見せつけるのだ。

くっせーくっせーくっせーわ!!!
あなたが思うよりくさすぎです。

いや。マジにシャレになっていない。
めっちゃ匂うがな。
強烈な香りビーズの匂いが充満しとんでもないことになっている。もはやこの空間は下品なピンク色の気体包まれ、家庭ではないどこかへ飛ばされた感覚すらあるが、不思議なことに目の前には使い込まれた洗濯機と手洗い場がある脱衣所だ。
強い匂いに飲まれているうちに、吐き気と口腔内がなんとも言えない不快感に苛まれはじめたので、この精神と香りの間から一旦退出することにした。

かなりとんでもないことが現場で起きている。強い芳香がすること自体は想定内だったが、その強さが想像を超えていた。
年中鼻詰まりの夫もこの非常事態を本気で心配している。大丈夫。と笑顔で伝える。この状況下ではそれくらいしか出来ないが、打開策はあった。

きっとそれなりに強い匂いも、すすぎ2回を挟むし、最後の柔軟剤投与で実質3回ほど薄まる機会があるからだ。
そもそも5分の1以下しか使用していない。いくらなんでも5分の1以下だぞ、絶対に今この状況ほどくっせーわ、にはならないだろう。と妙な確信めいたものがあった。

結果、洗濯機から出た洗濯物たちは、程よい芳香に包まれていた。
脱衣所には先ほどの香り分子が充満し、相変わらず大変なことになっているため、そのギャップが凄まじい。
相変わらず夫は、大丈夫か、と聞く。
洗濯物は大丈夫だ、と話すと全く信用できないと顔に書いてある。
いまから干すから、さらに匂い薄まるからね。と伝えるとすこしホッとした様子になった。
だが、夫はこの後同じように香りビーズを使い、同じ状況下で洗濯しようと考えてるとは知る由もなかろう。そして本当に実行した。
くささも飽和してるので、もう分かるわけない。恐ろしい香りをさらに撒き散らし1日を終えた。

朝を迎えた。朝の清々しい空気を全面に感じながらベランダへでる。昨日の洗濯物が風に揺れている。私はそれに顔を押し付け、鼻から胸いっぱいにその空気をすいこんだ。

あ!程よく香るイイ感じ。
見事成功である。

汚れは落ち、そっとビーズ由来の香りがするという、個人的にちょうどなバランスにすることができた。
途中経過えらいことになったけど本当によかった。と心底安堵しながら、部屋に戻った。
夫からは、確かに例の匂いはするが、少しだけだね。別に嫌じゃないよ。とまあまあな様子。子どもたちはなにも言わなかった。
これが我が家のベストバランスなのだろう。

落ち着いた心で、またビーズを入れ洗濯をする。ただし今回は水でだ。
あれは残り湯(高い温度)で使用すると、湯気とともに香り分子が飛ぶらしく、水だと幾分あの激しい匂いはなかった。
ただ、あの1発で(正確には2発)家族全員の鼻が麻痺した可能性もある。実験は個人の責任において実行されたし。あ、くれぐれも推奨使用量は守るべし。香害ダメ絶対。人としてそんなマナーを持ち合わせたい。

とか考えてたら、自宅に程近いコインランドリーにて、乾燥ドラムに香りビーズ禁止の張り紙が貼られまくっていた。うん、洗うときに入れる物を乾燥時に入れたら死ぬでしょ。
用法も守ろ。迷惑以外の何もんでもないよ。機械こわれたら訴訟もんよ。
香りへの欲が底なし沼すぎて死んだ。

結局のところ、人間は貪欲なのだろう。
だからこうして新しいもの新しい概念、洗濯で香りを楽しむという発想が生まれたに違いない。
汚れを落とすだけが洗濯ではない。洗濯は新たな次元へ、あらたな選択を増やしながら進化し続けるのかもしれない……
あ、用法用量は守ろうな!


香りビーズ
使いやすさ…⭐︎⭐︎⭐︎
洗濯中の匂い…⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎
残り湯の危険さ…⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎
推奨使用量の恐ろしさ…⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎

追記
香害は、症状が出ている方にとっては、無香料でない限り全て有害の可能性もあります。この文章は商品の使用を勧めるものではございませんので、ご理解ください。

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