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「おかえりモネ」を見て思う、専門性やミッションがある奴は強いと。

朝ドラの「おかえりモネ」を毎朝楽しみに見ている。

現在は、東京で気象予報士としてのキャリアを積んだ主人公の百音(愛称モネ)が、地元に役立つ仕事がしたいと故郷の気仙沼に「おかえり」したところだ。
市役所に勤務している幼馴染の力を借りてコミュニティFMで天気予報コーナーを始め、そこでの出会いを通じて、地元の大事な産業である漁業に気象予報で少し役に立つことができ、新たな道を進んでいる。

気仙沼といえば、2011年の東日本大震災で甚大な津波被害を受けた地だ。

モネは当時中学生。
なんかまあ色々あって「あの時何もできなかった」という無力感にずっと負い目を感じてきた彼女にとって、「自分の力で地元の役に立った」と
いうことが大きな意味を持つ。

また、同じように何もできず立ち尽くしていた幼馴染たちも、市役所の職員として市民に対応したり、お坊さんとして檀家さんの相手をしたりする姿が描かれた。
「チャラチャラした大学生だったあのふたりが立派になって……!」と親戚のおばちゃん目線で見てしまう。お小遣いあげたい。
(それにしても役所と寺って地域密着の極みな仕事だよなー)

ひたむきさが眩しいモネちゃんなのだが、その姿に圧倒されちゃった人もいる。
東京の大学でまちづくりを学び、休学して気仙沼に住んで復興支援をしていた大学生の水野さんだ。
気仙沼の外の人間である自分は役に立てない、と東京に戻ることを決意する。

あらあらあらあら、ちょっと待ちなさいよ。

思わずツイートしちゃったよ。

あなたに何もできないのは、あなたに力がないからです。

こう言うと冷たく残酷なようだけど、力がないならつければいい。
モネたちだってそうだった。

モネは震災の日に何もできないでいた自分にずっとコンプレックスを覚えるなかで気象の仕事に出会い、資格を取り、キャリアを積んで専門性を手に入れる。

「専門性」と書いたが、その立場ならではの役割とか知見とかスキルとか、はたまた特技とかそういうこと全般だ。


「専門性やミッションがある奴は強い」ということ

水野さんが「何の専門性もない」と悩む一方で、専門性があればいいってものでもない。

主人公のモネは、気仙沼に帰ってくる前は東京で気象予報会社に所属し、お天気リポーターなどをしていた。
この会社の社員はみんな気象予報士で、テレビの天気予報をはじめ交通など様々な分野に気象予報を提供するというビジネスをしている。

この会社は社員による新事業プレゼンを定期的に行っており、社長を納得させられたら若手であろうと事業採用となり会社のサポートが得られる。
この新事業プレゼンの描写がリアルで(特に社長のダメ出し!ああいう人弊社にもいるよ)、モネの同僚たちが自分の提案を通そうと奮闘する様も丁寧に描かれていた。

気象×防災「気象予報を防災に役立てたい」
気象×花粉症「気象予報で花粉症の人の役に立ちたい」
気象×地域貢献「気象予報で故郷に貢献したい」(これがモネ)

気象予報士といえば、合格率5%の難関国家試験。

合格自体が目的になりかねない(実際モネも3回目の受験でやっと合格した)けれど、それはスタートで、資格や知識は何かをなすための道具でしかない。

専門性やミッションがある奴は強い。

でもみんながそれを持てるわけではないのも現実。
実際に同僚の中には、気象予報士として活躍しながらも活躍自体が目的になっていて悩む人もいる。ミッションを持って輝くひとを、持たない側の悩みや葛藤を通じて描いているドラマだなあと感じている。
(脱線が長くなるから多くは語らないけど「俺たちの菅波」もそうだよね〜!)

いま「学ぶこと」の価値

東京の大学生、水野さんに話を戻そう。
おそらくこの水野さんは、他の大学生と違って休学までして被災地支援をしている自分に誇りを持って(悪く言えば酔って)いるところもあると思う。無力さをおぼえて東京に戻って、しばらくは悩むだろう。

でもそれでいいのだ。

その無力さや、気仙沼で拾ったであろうたくさんの種を糧にして、いっぱい学んで自分なりの専門性とかスキルとか、果たしたいミッションとかを見つけていけばいい。
大学生ってのはそういう時期なのだと、大学を卒業して20年近く経った今の私にはよく分かる

私が大学生のときは、なーーーんにも分かってなかったけどな!!

いま、私の仕事の中に大学に関わる案件があり、色々な大学の学校案内やサイトを見たり、学長や教職員の方の話を聞いたりする機会が多い。

そうして感じるのが、「専門」のあり方が変わってきていてるんだなあということ。

幅広い教養をベースにするリベラルアーツの考え方のように、広い分野を押さえて、その上で突出した自分の専門を置くというあり方。
専門と他分野の絡み合いで複合的な価値を生み出していく。
そういう人がこれからは強い。

私はこれから世に出る人を育てる身だし、自分自身だってあと30年くらいは現役でいたい。
考え方をアップデートしていかないとなあと思っている。

「そうはいってもさあ〜」と頭を抱えてしまうんだけど。


いまのこの視野と思考でもう一度大学に入りたいなあ。
出身とは別の大学の、専攻とは全然違う学部に行きたい。
(出身は出身で気に入ってるよ!)

とは言えそれは叶わぬので、とりあえずできる範囲から楽しんで、色々なものに触れるしかないよなあ。
でもって押しつけにならないように子供も巻き込んでいきたい。

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