見出し画像

大日本印刷の活版印刷のミュージアム

市ヶ谷の大日本印刷の敷地内に作られた活版印刷のミュージアムの見学に行ってきました。この施設の詳細は↓の公式サイトで。昨今の事情で予約制です。持ち時間は1時間ですがゆっくり目で観ても30分で済んじゃうかも。

建物もモダン。これは復元だか修復をしててそのプロジェクトの詳細もこの建物内2階で色々観られる。1階は活版印刷に関する機械の展示: 活版印刷機(平台)、活字を彫る機械やら植字の机、製本機。

画像1

活版印刷とは一文字ずつ金属で出来た活字を箱の中で組んで作ったハンコのようなものでインクを塗って紙と共にゴムローラーで挟んで刷りだす印刷方法。文字の大きさの単位はポイント、号。本文8ポ18字33行5段組、みたいな指定をする。意味は{本文の文字は8ポイント、1行は18字詰、1段33行で1頁内は5段}で組んでくれ。見出しなど本文より大きい文字や罫線は号で指定する。写真や図版は製版所で亜鉛等で凸版を作り、活字を組んだ木枠の中にはめ込む。商業印刷で主流なオフセット印刷やグラビア印刷はこれとは違い写真フィルム(ポジ)をネガ転写した版で紙に印刷する。文字と図版の重ね合わせができる。DTPが主流になったから製版フィルムも作らないことが今は多いんだろう(現役じゃないからもう分からない)。

画像2

画像3

アニメ映画「銀河鉄道の夜」(ますむらひろしのキャラクターデザインのやつ)でジョバンニがやってきて仕事しそうな活字拾いの机と抽斗。

画像4

私は活版印刷の雑誌の編集経験があるのでその立場からの活版印刷とは何ぞや?を知っている。活版印刷のレイアウト、文字組指定も知っている。毎号校了のために印刷所の出張校正室に通った。懐かしい。もうやりたくないけど。その後にオフセット印刷の雑誌に変わったので活版印刷では出来ないことをやれるようになって嬉しかった。でも、活版印刷の経験がない人に活版印刷経験を自慢したりする。活版印刷とDTPを含むその他の印刷と決定的に違うのは文字組の修正が大変であること。だから校正の時には改行、行送りを伴う修正をしない。1行内で完了する修正か、まとまったブロックごとの差し替え(とは言え新たな植字が必要になるので修正する行数を多くはしない(段の中で完結させる)テクニックが要る(写植を使う版下がある印刷でも改行を伴う修正は手間で切り貼りの要があるけど)。もう、活版印刷風の雑誌でもほぼオフセット印刷だろうけど(旧来からある週刊誌の類等、活版印刷では出来ない本文の下に絵柄や写真が敷いてある頁があったりするもの)。

画像5

↑は、見学の御土産。ルーペ、スケール、タッチペンっぽいけど性能悪し…と小冊子等が入った紙袋、他にポストカード、栞を別途に貰える。

きっと幸せになりますよ(私が