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「世界の絶景」7.フィヨルド


1.フィヨルドとは

 氷河は、数万年もの時間をかけて、数千メートルも降り積もった雪が融けずに固まり、氷へと変化したものだ。
 その氷河が自分自身の重みによって、速くても1年間に数百メートルというスピードで山の斜面を下り、滑りながら底にある地面を深く鋭く削り取り、U字谷と呼ばれる深い谷を形作ってゆく。 
 フィヨルドは氷河期の終わりごろに氷が融けて海面が上がったために、この深い谷の一部が海に沈むことで形成されていったのだ。
 フィヨルドの特徴は、湾口から湾奥まで湾の幅があまり変わらず、細長い形状になる。さらに、海岸線は湾奥を除いて断崖絶壁となるものが多く、水深も深い。たとえば、ノルウェーのソグネ・フィヨルドは、長さが200Km、水深・両岸の断崖ともに1000mを越えるが、湾の幅は数Km程度である。

2. ノルウェーのフィヨルド

①   ゾグネフィヨルド

 ノルウェーの西側は別名「フィヨルド地方」と言われているぐらい、多くのフィヨルドが存在する。中でも人気ナンバーワンのフィヨルドがソグネフィヨルドだ。
 特徴はなんと言ってもその大きさ! 全長204Km、幅は平均約5km、最深部の水深が1,308mにも及ぶにこの美しいフィヨルドは、ノルウェー最大であり、グリーンランドのスコルズビ湾に次ぎ世界で2番目に大きい。
 深く入り込んだ湾、そして両側には1,000ⅿを超える絶壁がどこまでも続き、透明度の高い海面と緑豊かな景観が広がり、山々、氷河、小さな村々を巡る変化に富んだ自然の旅路を提供している。

峠から見たゾグネフィヨルド
遊覧船から見たゾグネフィヨルド

②     ネーロイ・フィヨルド

 ゾグネフィヨルドの支流であるネーロイフィヨルドは、水深は12m、最高1800mの山がそそり、切り立った断崖に囲まれた狭いフィヨルドなので見どころが多い。
 幅は最も狭いところは250mしかなく、両岸に点在する集落がまじかに見えた。人口は3人、14人、20人という小さな村に住む人々の生活も身近に感じ、畑仕事をする人やボートに興じる様子など、急傾斜の断崖や滝とともに様々な風景を楽しませてくれた。

ゾグネフィヨルドとは全く様相の異なるネーロイフィヨルド

3. ミルフォード・サウンド (ニュージーランド)

 ミルフォード・サウンドはニュージーランド南島の西海岸側、フィヨルドランド国立公園にあるフィヨルドだ。
 細長い入り江がタスマン海から内陸に向かって15キロほど延びており、氷河の浸食によってできた深い渓谷が迫力の景観を生んだ。
 ミルフォード・サウンドの壮大な自然は、滝や山々の頂、美しい絶景を楽しむことができる場所として知られ、遊覧クルーズやカヤック、ハイキングなど、さまざまなアクティビティが楽しめる。
 雨の日でも美しい風景が広がり、特に滝は雨量が多いほど迫力を増し絶景となる。

■三つの見どころ

 まず第一の見どころは「 マイター ピーク 」
 ミルフォード サウンドの中で、 最も有名な山 だ。標高1692メートル、海面からそそり立つ山としては 世界で2番目の高さ を誇り、美しい姿がニュージーランドの シンボル 的存在になっている。
 司教の冠(マイター)に形が似ていることから、マイター ピークと名付けられた。

遠くに聳えるマイター ピーク

 第二の見どころは「 スターリング滝 」
 ミルフォード サウンドの中でも、高い人気を誇る滝だ。155メートルもの高さから豊富な水が勢いよく流れ落ちる様はまさに絶景だ 。遊覧船の船長は滝つぼの近くま船を寄せてくれたが、大量の水しぶきがかかり、とてもカメラを向けられない。やむなく少し離れた所で撮ったが全く迫力がない写真になってしまった。

スターリング滝

 三番目の見どころは「 タスマン海 」
 ニュージーランドの北西、オーストラリア南東部とタスマニア島に挟まれた太平洋の海域がタスマン海だ。
 1642年にオランダの探検家アベル タスマンが来航した後、1770年に キャプテン クック もこの海を探検し、その後シドニーに上陸した記録が残っている。

タスマン海

4.パタゴニアフィヨルド(チリ&アルゼンチン)

①パタゴニアの氷河 

 南米大陸の南端、アルゼンチンとチリの両国にまたがる広大なパタゴニア地域。
 入り組んだ地形が続くパタゴニアフィヨルド周辺の島々は、「吠える40度地帯」と呼ばれる南緯40~50度の間にあり、強烈な偏西風が絶え間なく吹き荒れ、すさまじい雨や雪が年中降り続くこともある。
 数万年もの時間をかけて堆積した雪や氷が氷河となり、その氷河の浸食によってフィヨルドが生まれた。

 太平洋の湿気を含んだ風がアンデスの山々にぶつかり、大量の雪を降らせ、堆積した雪が長い期間をかけて圧力で押し固められることによって形づくられるパタゴニアの氷河。
 堆積した雪によって長い時間圧縮されたことにより、氷の中に空気をほとんど含まない。気泡のない透明な氷は青い光だけを反射して他の色を吸収してしまうため、美しい青色となって映る。
 針のように鋭くそびえる山々、静謐な空気を切り裂き轟音を響かせて崩れ落ちる氷河、そんな氷河から溶け出した水が注ぎ込む河川――およそ110万平方キロメートルにも及ぶ広大なエリアには、初めて見る地球の美しき姿が広がっていた。

②ビーグル水道

 船は幅320mの狭い水道に入った。
 右岸に見ごたえのある景観がつづいた。切り立った山々、頂には青白く氷河が光る。この水道で最も大きいイタリア氷河もみえた。その上を通って吹き付ける突風は、身を切るような冷たさでデッキに立つ人々を震え上がらせていた。

③ガブリエル水道の朝焼け

 ビーグル水道から分岐してガブリエル水道へと入る。午前7時すぎ東の空と海が真っ赤に染まった。
 今までに出会ったことのない 感動的な朝焼けだった


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