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「世界の絶景」4.遺跡         その4.ギリシャ


1.アクロポリスの丘

 ギリシャを代表する古代遺跡で、世界遺産にも登録。アクロポリスとは「丘の上の都市」の意。
 入り口は丘の西側で、ブーレエの門、その上部に勝利の女神ニケをまつったアテナ・ニケ神殿がある。
 プロピレア(前門)を進むと紀元前5世紀に完成したパルテノン神殿が現れる。北側にはエレクティオン神殿、丘の下方にはヘロデスアティコス音楽堂、ディオニソス劇場と見どころが多い。

アクロポリスの丘よりアテネ市内を望む(手前はゼウス神殿

◆パルテノン神殿・前門

 プロピレア(前門)は名建築家ムネシクレス作で、中央、左右の3棟からなる。中央は正面に6本のドーリス式円柱が並び、左右には3本づつイオニア式の柱が並んでいる。奥には門扉が5つあり、かつては柱や壁一面に金粉が塗られ、大理石で作られていた天井は空色に塗られていた。
 アテネを支配下に置いていたオスマン・トルコ軍が弾薬庫として使用していたが、1645年落雷のため大爆発をおこし、さらにトルコとヴェネツィアとの戦闘で砲弾を受け大破。20世紀初頭に現在の姿に修復された。

プロピレア(前門)

◆パルテノン神殿・本殿

 ペルシア戦争勝利を感謝して、アテネの守護神アテナに捧げられた神殿で、紀元前447年に起工、紀元前438年にアテナの祭神像が完成、その年のパンアテナイア祭に落成式が行われた。全体の完成は紀元前433年。
 基壇は幅約31m、長さ約70m、高さは約10.5m。正面と後ろは8本づつ、両横から見ると17本づつ、計46本のドーリア式の柱が取り巻いており、正面と後ろにはさらに内側に6本づつ柱が立っている。
 目の錯覚による効果を上手く取り入れていて、例えば建物の安定感を出すために柱は全て内側に傾斜、床も真ん中を少し高くする感じで弧を描き、四隅の角の柱は光の加減で細く見えるのを防ぐため他の柱より少し太めに作られている。

本殿

◆ エレクテイオン

 アクロポリスの丘の北側ぎりぎりに立つ神殿で、一番目を引くのは柱として屋根を支える6体のコレー(乙女)像。
 カリアティディスと呼ばれ、高さは2.3m。1体はパルテノン神殿の彫像と一緒に大英博物館に拉致。残り5体も近年空気汚染のため破損がひどくなったので複製と置き換えられ、現在アクロポリス博物館で展示されている。

2.オリンピアの古代遺跡

 ギリシャ・ペロポニソス半島にある古代ギリシアの都市であったオリンピアはオリンピック発祥の地。ゼウスに捧げる祭典からはじまった古代オリンピックを伝える地として知られている。
 二つの川に挟まれた山間の聖地で、松やオリーブの豊かな緑と穏やかな風景に包まれた、この古代遺跡は「オリンピアの考古遺跡」として1989年にギリシャの世界遺産として認定された。

◆オリンピックスタジアム

 入口の通路だったアーケードの一部が残っている。紀元前4世紀ごろに作られ、トラックは幅が30m、長さは192mで、初期は北にあるクロニオンの丘の斜面が観客席だった。
 ローマ期には南にも観客席が造られ、最大20万人を収容していたという。

スタジアム入口のアーチ

◆ゼウスの神殿

 紀元前456年に完成した、エリスのリボンが造った長さ64m、幅28mの神殿。ドリス式の巨大な円柱が正面と後ろに6本、側面に13本建っている。
 本尊として祀られていたのは巨匠ファディアス作のゼウス像だ。
 金と象牙で作られた像は高さ13.5mあり、これを見るためにわざわざ2階に回廊が造られたほど。頭にはオリーブの冠、左手には鷲をあしらった王の杖、右掌には勝利の女神ニケの像があり、かつての繁栄ぶりを表していたが、現在は焼失してしまった。

◆ヘラ神殿

 紀元前600年頃に建造された最古のドリス式の神殿の一つ。初めはゼウスと共に祀られていた。
 柱はそれぞれの形や太さが違っており、破壊と再建を繰り返した様子を見ることができる。太くずんぐりしており、エジプトやオリエント建築を思わせる風貌だ。
 今もオリンピック聖火の採火を行う場所としても有名だ。

オリンピック聖火の採火場

◆プリタニオン

 紀元前338年に、マケドニア王フィリッポス2世が全ギリシアを統一した記念として建てられたもので、ゼウス大祭のときの迎賓館として主に使われいた。オリンピックの優勝者はここに招かれ食事をしたと伝わっている。

3.デルフィの古代遺跡

 ギリシァ中部パルナッソス山麓にあったポリス(都市国家)の遺跡デルフィは、紀元前8~前6年ごろは全世界の中心と呼ばれ、古くから予言の神アポロンが崇拝されていた。かつては宗教の中心として栄え、様々な宗教儀式が行われた。芸術やスポーツ競技の中心地でもあった。
 古代デルフィの遺跡は1987年、「デルフィの考古遺跡」という名称でギリシャの世界遺産に登録された。

◆アポロン神殿

 「汝自身を知れ」、アポロン神殿の入口に刻まれた古代ギリシアの格言である。
 プラトンの『プロタゴラス』の中でソクラテスは、七賢人がデルポイのアポロン神殿に集まって「汝自身を知れ」と「度を越すなかれ」という碑文を奉納したと語っているが、この話の真偽は不明である。
 神殿の大きさは、縦60m、横24mもあり、現在は基壇と柱が残るのみだが、プレイストスの渓谷を背に聳え立つ姿は威厳に溢れていた。
 不揃いの6本の円柱が正面にあり、側面には15本の柱が並ぶドリス式の神殿だが、紀元前6世紀ごろに造られたものは焼失し、現存するのは紀元前4世紀に建てられたものだという。
 神殿の中央には、祭壇がありアポロンの像が置かれていた。神殿の前の祭壇は、かつて神託を受ける時に生贄が捧げられたといわれてる。

◆古代劇場

 神殿北側の丘の上に天然の岩山を削って造られた円形劇場がある。
 紀元前4世紀に造られたもので、2世紀後にローマ人によって復元された。
 保存状態はかなり良好で、古代の原形がほぼそのままの姿で残り、35段の大理石の階段席から眺めるデルフィの聖域は神秘的な光景だった。
 かつてピュティア祭の演劇や演奏会が行われ、5000人もの人々が訪れていた、この劇じょえは、現在も夏には公演が行われている。

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