北浜譚
ライオン橋のたもと
コーヒーショップの川床で
ビルの稜線の向こう
銀色の縁からじんわり茜色に染まる雲
濃紺の紗が水色の空にかけられる今宵
開いた手帳に
迷子のためいきを
閉じ込める
中之島の夕暮れ
川を渡る風を呼ぶ
バラ園のベンチで
たんぽぽの綿毛が
やさしい休息をとる
モーブピンクのニットの女性
クリスタルの髪どめが
川あかりに光って涼しい
土佐堀川の欄干で
手帳を開く
ペン先の言の葉に乗り
ためいきはハラハラと
墨色の光る川面に落ちた
出来立ての詩を掌に包み
イチョウ並木を歩く
ブロンズの内に美しい力宿る一瞬
踊る少女たちに会いにいこう