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子の付き添い入院について親として思うこと

ちょっと前に子の付き添い入院についての記事が、Twitter上でトレンドに上がっていた。
その記事がこちら。

私はこれまでに10回以上子どもたちの入院に付き添っている。
コロナ前、コロナ中、そして、コロナ5類移行後の今、それぞれの時期に付き添った経験から、子の付き添い入院について、思うところをまとめてみた。

ただし、私はそれぞれの入院が最長14日程度で、ほとんどが10日間という状況である。
数か月、数年単位で入院されている方々とは、また意見が変わってくると思うし、あくまで私個人の意見として読んでもらいたい。


付き添い入院の親は孤独を感じやすい

子の付き添い入院をしてみて、始めに思ったのは自分が孤独を感じることだった。
私が初めて子の付き添い入院をしたとき、子どもはまだ4か月だった。
母としても未熟だし、原因不明の熱だったこともあり、何もわからなくてただただ不安だった。
しかも、当時はまだそれほどSNSやネット環境が整っていない時期。
入院したら世間とは遮断されるような状況であった。

感染病棟ということもあり、他の親御さんと話す機会もない。
看護師さんは忙しそうだし、色々聞くのもはばかられた。
それは私の性格によるものと、当時は育児に慣れていなかったこともあってのことだと思うので、看護師さんが悪いわけではない。

だけど、この記事を読んでいると、孤独感にさいなまれたという意見もある。

私はコロナ前、コロナ中、コロナ後すべてで子の付き添い入院の経験があるが、コロナ中は本当に孤独を感じた。
連絡はできるものの、家族が面会に来ることはできない。
デイルームでLINE電話している家族が多かったように思う。
だけど、我が家のように、ベッド上安静が続くと、それもできなくて、LINEの文章のやり取りのみなんてこともザラ。

何回も付き添っている私ですらそう思うのだから、初めての入院ならなおさらそう思うだろうし、長期間付き添っている方々もそうだと思う。
平気そうにしていても、きっと孤独を感じている部分はあるのではないだろうか。

長い期間入院しているお子さんや、定期的に入院していると思われるお子さんがおられる方々の場合は、親御さん同士が顔見知りになっていて、お話をされている場面はよく見かけていた。
孤独を感じるからこそ、そういう関係性ができてくるのかな、と勝手に感じている。

完全看護体制が取れる病院であれば親は満足できるのか?

私は地方の小さな町在住なので、完全看護体制が取られている小児科病棟がある病院に子供を入院させたことはない。
ただ、実際に完全看護体制が取られている病院があったとて、自分は不安なく子供を預けることができるか、と言われたらNOと答えると思う。

付き添い入院なら、子どもの状況をずっと看ることができるし、子どもが伝えられない状況を代弁することだってできる。
ただでさえ入院するほどの状況にある子どもたちだ。
自分の見ていないところで何かあったらどうしようと、思ってしまう自分がいる。

それは、医師や看護師さんが信用できないという事ではない。
ただ、親として見ていないところで起こった出来事に対し、後悔を持たずに納得できるかと言ったら、その自信がないからだ。
自分がそばについていたって、後悔することが多いのだから。

だから、私は大変ではあるけれど、付き添い入院の方がまだ不安は少ないと思っている。

子どもの精神衛生上、付き添い入院は必要

この記事を読んでいると、「親は子供の気持ちを落ち着かせたい一心で泊まり込んでいる」との意見があった。
コメントには、実際の医療職の方が、「子供たちの精神衛生上、付き添いは必要と思う」と述べているものもあった。

また、知的障害のお子さんを持つ方の意見もあった。

実際に、付き添ってみて思うが、子どもは体調が悪い中で、慣れない環境に放り込まれることになる。
不安極まりない状況に、もし親が付き添っていなかったら、もっともっと不安でパニックになることもあるのではなかろうか。
小さい子供さんや、障害があるお子さんならなおさら。
慣れない環境で過ごしながらも、治療に専念していくためには、やはり親の付き添いは必要なものなのではなかろうか。

付き添い入院する親たちが求めているもの

私を含め、付き添い入院をする親たちが求めているのは、おそらく付き添い入院を辞めてほしいという事ではないと思う。
望んでいるのは、付き添い入院をする環境の改善なのではなかろうか。

例えば、食事。
付き添い入院に食事の注文が可能なところは少ない。
実際に、私が度々付き添い入院している病院も、食事は自分で調達しなければならない。
一番理想的なのは、食事の注文ができること。
だが、注文できなくても、ある程度調達できる選択肢があれば、少しは快適になるのではなかろうか。
我が家の場合、病院内にコンビニと食堂、イートインのあるパン屋が入っているため、買いに行ったり食べる時間の確保ができれば、食事はなんとかなる。(お金はかかるけどね)

付き添い時のベッドも改善の余地があるだろう。
私は、去年初めて付き添い用のベッドを借りた。
それまでは、一緒にベッドに寝ていたので、狭いながらも特に不満は感じていなかった。(どんなところでも寝れるタイプなので)
ところが、付き添い用ベッドを借りて、びっくりした。
付き添い用ベッドって、本当にまっすぐ寝るだけの幅しかなく、寝心地も悪い。
看護師さんが通る幅も確保しておかなければならないので、すぐ横に置くわけにもいかず、子の対応をするときにはその都度起き上がる必要がある。
どこでも寝れる私ですら、どこかしらが痛かったり、偏頭痛が出たりといった状況だから、他の方々はきっと大変だろう。
長く付き添い入院するならなおさらだ。
もし、このベッドがもう少し寝心地がよいものであったなら、親側の負担も少しは軽減できるのではないだろうか。
ベッドそのものは難しくても、せめてベッドマットはもう少し厚手の物だったらいいなぁ。
値段はもう少し上がってもいいです。
(我が家が入院する病院は7日で1500円で借りられました)

せめて、この2つだけでも変えることができたら、付き添い入院をする親たちの負担は少しは軽減できるのではないだろうか。

声をあげれば少しずつ変わるかもしれない

子の付き添い入院をする親たちの気持ちが、こうやってニュースになることで、Twitterのトレンドにあがったり、世間の話題になったりすることは大いにある。
正直、付き添い入院の経験がなければ、この気持ちもわからないだろうから、声をあげることは大事なことだと思う。
今は多くの人が声を上げやすい社会になってきた。
勇気ある人の小さな発言が、世の中を変えるきっかけになる可能性はあるだろう。
だけど、そう簡単に世の中は変わるものでもないことを私たちは知っている。
少しずつでいい。
この声が誰かに届いて、小さなことから変わっていったら、今困っている人たちも、これから付き添い入院する人たちも、少しは安心できる環境で過ごせると信じて。

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