釉薬のうつわって、色っぽい

私は足掛け10年くらい、学生時代も入れると13年前後、茶道を細々と粘っこく習っている。茶室のなかにステキなものがたくさんあるから。

なかでも茶碗などの陶磁器は強く惹かれてしまう。
普段使いの食器にはない奥行きを感じる。

自宅にて。作者不詳。「松いか島 宝山」と箱にあり。

その奥行きは「非対称」「厚みと形状の変化」「釉薬のつくる変化」から感じるように思う。
このnoteではすこし釉薬の話をしたい。

釉薬とは、陶磁器の表面に付着させるガラスの被膜のこと。うわぐすりとも呼ばれます。ほとんどの陶磁器は釉薬をかけて、仕上げられているんですよ。
(中略)
釉薬の調合や、釉掛けのテクニックによって、釉薬は奥深い表情や景色を見せてくれますよ。
うつわを釉薬に浸した際に、溝などにそって釉薬が流れる跡がついたり、釉薬がたまったり。釉薬に美しいヒビである貫入や、結晶を生じさせることもできます。

上記リンクより

私の食器棚にあるお皿は白の無地だったりパターン的。それはそれで機能的で雑味がなく料理を引き立てる。

けれど釉薬によって装飾されたお皿はパターン化からはずれる。
釉薬は最終的には人の手から離れ、ガラスが火によって変化し完成するから。

時にはかすみ、たまり、厚いところがあれば薄いところができる。
茶道ではその奔放さに自然をも見出してもきた。
朝霧、曙、時雨や山。

知欲ー日本美術 同サイトより 楽焼白片身変茶碗 銘不二山

幾重にもつらなりもやりもやりといろんな模様を作る様や、とろりとたまった釉薬が艶めいているところを見ていると飽きない。
そういうところが色っぽいと思う。

このnoteを書く前にさらっとwikipediaに「釉薬ってなに?」とお伺いをたててみた。
するとエジプト、イスラム、中国と、なんだか中東アジアエキゾチックな感じがバリバリ。

確かにヨーロッパの陶磁器って、白い器に人の手でぱきっと精緻な模様が描いてあるイメージで、釉薬で自然変化を狙った器のイメージはないかも?(違ってたら教えてください!)

そんなわけで釉薬の器は、ちょっと日本やアジアの文化にもつながる、オツなやつなのだ。

最近私が買ったのがこれ。

KEYUCAで購入。カップとソーサであわせて3000円未満。
お手頃ながらも釉薬の垂れ、かすれ、色の変化をしっかり楽しめる。そしてデザインがモダンで使いやすい。

【うつわについて】
・温度や焼成条件で変化しやすい釉薬を使用しているため、サイズ、色味や質感、貫入(ヒビ割れ)の仕上がりなどは一点一点異なります
・ひとつひとつ手作業で仕上げているため、削り模様や柄、釉薬のかかり具合には個体差があります。
・生地との相性により、柄の位置や色の濃淡には個体差が生じることがあります。

上記サイトより

これこれ。これが釉薬の楽しいところ。同じKEYUCAの朝霧シリーズを手に取っても、まったく同じなものは見当たらない。
私も店頭で「どの子にしようかな~」とほくほく顔で選んだ。
私は垂れが多い子を選んだけれど、もうすこし釉薬の変化がおとなしいシンプルな子もいた。どれを選ぶかは As you like. その人の美学次第。

オンラインストアでは売り切れの様子。でもそれでいいかもしれない。これは店頭で自分の感性と対話して選ぶのが楽しい。

KEYUCAさんなかなかやりますね。